地球は平らじゃない_スタインの絵本 その2 ― 2016/02/20
税関事務所でわずかな時間クレメント・ハードの挿絵に目を通しただけだったにも関わらず、スタインは絵画に対するいつもの慧眼ぶりを発揮した。アメリカン・インディアンの少女っぽいローズをもう少しフランス風に描いてほしい、という要望が伝えられた。ハードは一年がかりで挿絵を仕上げた。
ローズ色と青の本が完成した。1939年のことだ。出版時期に合わせて、ニューヨークのW.J.スローン百貨店から子供部屋用の小さな敷物も販売された。
さらに壁紙が作られるとスタインはたいそう喜び、「パリの家の二つの部屋には "Pigeons on the Grass, Alas" の壁紙が貼ってあるけれど、別の部屋を「地球は丸い壁紙とラグで飾りましょう」とハードに手紙を書いた。

この絵本に対する評判は様々だった。繰り返しの多いスタイン文体でからかう批評も多かった。しかしNYタイムズやNYヘラルド・トリビューンは、文章のリズムが子供たちの話し方に近いので声に出して読めば幼くても難なく物語を追えるだろう、と好意的だった。
最も有名な"Rose is a rose is a rose is a rose." は本の扉と第26章に置かれている。1922年の"Sacred Emily"以来スタインが好んで何度か書き、しばしば引用されて広まったフレーズだ。扉では単語が丸い円を作り、第26章ではローズが自分の名前を木にぐるりと彫って「薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である」文が繋がっていく。わたしが知った最初のスタインのフレーズもこれだ。

1986年にはサンフランシスコの書店アリオン・プレスが、実際に丸い形の本を出版したそうだ。ポプラ社の翻訳『地球はまるい』も、オリジナルのローズ色と青の丸いイラストと落石八月月氏のリズミカルな翻訳が楽しい。
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_ Tombow Notes - 2016/08/20 00:49
2月に読んだ『地球は平らじゃない』には、1939年当時ガートルート・スタインの「パリの家にある二つの部屋には 'Pigeons on the Grass, Alas' の壁紙が貼ってある」と書かれていた。その壁
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