アメリカの家のスタイル2017/08/14

 プレーリー建築を調べる時、ずいぶん前に入手した本が役立った。『フィールド・ガイド』にはネイティヴ・アメリカンのテント tipi や、鉄道が走る以前大草原に建てられた一部屋だけのログ・キャビン、ローラたち家族も住んだ dugout( 半分土手に埋まっている、塹壕様式?!)、サンタフェで見たアドビの家などの説明もある。シャーロッツビルにあるT.ジェファーソンのモンティチェロ、ホワイトハウスにも取り入れられたギリシャ・リバイバル様式、ゴシックやチューダー、スペイン風ミッション様式、そしてもちろんプレーリーなど、パラパラめくっているうちに半日が過ぎてしまった。すぐ忘れちゃうけど。
 『ハウス・スタイル』はカラー写真が美しい。クイーン・アン様式(ヴィクトリアン)の家々が並んだサウス・カロライナのチャールストンやニュージャージー州のケープ・メイを思い出した。ケープ・メイは5年前のハリケーン・サンディの被害から立ち直っただろうか。


眺める本2017/05/20

 今年の母の日プレゼントは本だった。ちゃっかりこちらから希望を言って届けてもらった。ありがとう、子供たち。
ここ数年、本はたいてい図書館で借りることにしているが、こういう本は置いていない。旅先の本屋で見かけ、いつか欲しいとメモしておいた大判の本だ。どちらも子供向けなので週末にゆっくり、読むというより(多分辞書なしで)眺められる。

ヘミングウェイの家(キューバ)2017/02/11

 ミネソタの友達がキューバ旅行の写真を送ってくれた。P夫妻とこの前会ったのは3年前のメキシコ旅行だ。メキシコシティーで待ち合わせ一緒に数日過ごした後、わたしは一人でハバナに行ったのだが、念願のフィンカ・ビフィアは映画の撮影中だとかで見られなかった。泣く泣く帰国し、事の顛末(キューバで絶句するをメールに書いたのを覚えていてくれたのだ。

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 アフリカで仕留めた動物の剥製、そしてミロの「農場」の複製(本物はD.C.のナショナル・ギャラリーにある)が飾られている。これはダイニングルームだろうか。

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 立って使っていたというタイプライター。これで『老人と海』を書いたのか。

 オバマ大統領がキューバとの国交を回復したものの、アメリカ人の観光はまだツアー参加が前提になるようで、P夫妻も教員組合キューバ旅行で回ったそうだ。二つの国は国交正常化に向けてゆっくり動き出すはずだったが、トランプ政権はその打ち切りを示唆しており先行きは読めない。
 もしわたしがもう一度キューバに行けるとしても、またカナダ経由になるのかしら。話は逸れるが、ここ数日、トランプ大統領の読解力に疑問ありという報道をいくつか読んだ。一冊も本を読み通したことがないらしいとか、小4程度の英語力だとか、長い文章が読めないので思考力も劣り、発言が支離滅裂になる、質問に的確に答えられない、契約書は周りの説明を受けてサインする(大統領令も?!)などなど恐ろしいことばかり。詩人がいないどころの話ではなかった。

詩人がいない2017/01/22

 トランプの大統領就任式を一通り見て、あれれ、詩人がいない!と思ったが、調べてみると、共和党の場合はこれまでも詩の朗読はなく、必須項目ではないようだ。そうだったのか。


 思い出してみれば、就任式をテレビで見始めたのはつい最近、2009年のオバマ大統領の時からだ。活字で読んだクリントン大統領就任式(1993年)のマヤ・アンジェロウ強い印象が残っており、必ず朗読があるものと思い込んでいたケネディ大統領就任時ロバート・フロストが最初で(86歳という高齢だったため原稿が見えず、別の詩か即興詩を披露)、以来5人の詩人が壇上で自作の詩を読んだという
 とにかく詩は大事でしょ、人は言葉で作られているんだから、というようなことが上のサイトに書かれている。そして、ウォルト・ホイットマンの詩を読んだらどうなの、という提案があった。

 年末年始恒例日向でうとうと読書、この冬は『名編集者パーキンズ』からの流れで『異神の国から 文学的アメリカ』(金関寿夫 南雲堂)やヘミングウェイとフィッツジェラルド書簡集などを読んでいた。金関先生のホイットマン論にちょうどこんな一節がある。

「ホイットマンはアメリカの保釈保証人だ。アメリカが危機に瀕すると必ずホイットマンが蘇ってくる」と言ったのは、今世紀アメリカの大詩人エズラ・パウンドだ。つまりアメリカ人は、時代を超えたアメリカの理想を力強い声で歌い上げたこの詩人を、なにかにつけ思い出すからである。p.220

 「トランプに就任の詩がないなら、自分たちでホイットマンを読もう」というサイトもあった。

 そうそう、一番好きなホイットマンの名言
"Be curious, not judgmental."

一年が早い!12月のメモ2016/12/11

 『ベストセラー、編集者パーキンズに捧ぐ』は少し前の週末、シネマ・イクスピアリでの初日レイトショーに、日本語音声指導講習会の後駆けつけた。総観客数が(わたしを含めて)驚きの5人!何しろ開始7分前にたった一人しかいなかったのだ。
という具合で、話題にならない地味な映画だったが楽しかった。コリン・ファースは本当のマックス・パーキンズ同様、ずっと帽子をかぶり続け、ジュード・ロウのトマス・ウルフは立ったまま、冷蔵庫を机がわりにして原稿を書きなぐっていた。書き捨てていたのではなく、読み返すことなく木箱3つ分の原稿を書き続けたという。実際には身長2メートルの大男だったらしいから、執筆姿はさぞ迫力があっただろう。
 実は原作の翻訳を、まだあまり読み進んでいない。パーキンズに見い出されたフィッツジェラルドが処女作『楽園のこちら側』を出版し、ゼルダ・セイヤーと結婚した辺りまでだ。映画のストーリーが始まる前ということか。いや、本はとても面白いのだ。冬休みに入ったら、残りをきちんと読むつもりでいる。映画のこのシーン(ヘミングウェイ役それほど似ていない。ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』のほうがよかった)が語られるのは、きっと下巻だろう。

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 キーウエストにヘミングウェイを訪ねたパーキンズ 1935年(帽子は手に持っている)実際の写真

 秋学期はK校が上級文法クラスと漢字N2クラス、Y校では初中級を2クラス教えていた。ここ一ヶ月行き帰りの電車でボブ・ディランを聴き続け、自伝(クロニクルズ1)と新書の解説本を読んだ。人がみな孤独で投げやりで自分にかまけ愛は虚しく通り過ぎ行き場のない思いが風に舞っているディラン的世界のその向こうに、決して聞き逃してはならないメッセージがあることを知ったように思う。
 昨晩のノーベル賞授賞式でのパティ・スミスを、ついさっき見ることができた。緊張して歌い直したからこそ、むしろパティのありのままの震えるような感動が伝わって、こちらもぐらぐらと揺り動かされた。

世間が面白くない時は勉強2016/11/12

 孫引きだが、ドイツ語学者関口在男さんの『独逸語大講座』昭和3年(1931)最終巻に「世間が面白くない時は勉強にかぎる」という言葉があるそうだ。(半歩遅れの読書術、國府功一郎、日経新聞10月16日)
妙に納得し、Evernoteに入れておいた。

 予想外の結果に終わった米大統領選に、普段はつかないため息が止まらない。よその国のことにせよ、長年のヒラリー・ファンにはショックだった。頭脳明晰で比類ない経験を持つ女性、面白みに欠けるかもしれないが、公平で度量の大きなヒューマニストだと思う。そういう女性が次に登場するまでに何年かかるのだろう。
時代の流れが変わりつつある。ポピュリズムの波がイギリスから大きくうねってアメリカに到達した。大らかで寛容だったオバマ大統領の時代が終わる。

 世間が面白くない。だから勉強だ。
こんな時引っ張り出す英語の語彙練習帳には、過去数回の中断の跡がくっきり残っている。今年こそ年末までに終わらせよう(と毎回思うんだけど)。
 そして気持ちを引き立てるため、丁寧に家のことをしてみる。種を蒔いたばかりの冬のベランダ菜園に水をやり、パンを焼き、煮りんごを作った。晩秋のいい匂い。
あ、そうそう、不気味なパンダ顔になるコーヒー・デトックス・パックも。
夕方、図書館から『ボブ・ディラン自伝』到着のお知らせメールが入った。

本を買う借りる読む、映画を見る2016/10/25

 IMDbで予告を見て気になっていた映画"Genius"『ベストセラー、編集者パーキンズに捧ぐ』(邦題長い)が、いつの間にか日比谷のシャンテで始まっている。あら、大変。急いでAmazonに飛び、原作の翻訳もの草思社文庫2冊を注文した。本を読んでから映画に行くとなると、シャンテは終わってしまうけど、11月にイクスピアリで見られそうだ。

 映画と言えば、旅行後の宿題ロン・ハワードの"Eight Days A Week"を見に行き、それから『ハドソン川』と『ジェイソン・ボーン』にも行った。"Genius"はヘミングウェイ、フィッツジェラルドも絡むので必見。アメリカ文学関連ではエミリー・ディキンソンの伝記映画"A Quiet Passion"もあるが、地味すぎて日本公開されないかもしれない。そう言えば、これも地味なアリス・マンロー原作"Hateship, Loveship"はDVD発売されたのかなあ。

 図書館から回ってきた『下町ロケット2』は面白くて週末に一気読み3時間。待ち人数多数のため、すぐ返却した。池井戸さんは読後感が爽快。その10分の1ほどのページ数『サックス先生、最後の言葉』も同時に借り2回読み返した。まだ返さない。多分もう数回読む。スピードに乗って楽しむ本と、じっくり噛みしめたい本があるよね。机の上にはアンセル・アダムス写真集、久しぶりの筒井康隆氏、最近読み始めた堀江敏幸さんも載っている。
見ては忘れ、読んでは忘れ、今年も秋が深まっていく。