夏休みの子供レッスン2016/08/24

 夏休みの間だけ、週に2回各90分子供たちを教えている。
7月初旬に日本へ来て都内の小学校と幼稚園に入ったところで、すぐ夏休みになってしまった。ひらがな/カタカナと基本表現を教えてほしいという依頼だ。
 今日が8回目。日常のあいさつ、簡単な自己紹介、数字は100まで、色、天気、時間など練習し、ひらがなは濁音まで終わった。ノートに書くだけでなく、アクション、iPadのKeynoteで作ったプレゼン・ファイル、カードなど工夫しているが、順番に並んでいないと字が読めない。カルタ取りゲームは張り切ってするのに、どうも定着しないなあ。
今日は付箋のひらがなを読んで、家の中に見つけ、貼り付けるゲーム。
とけい、まど、つくえ、いす、かばん、はこ、ぼうし、えんぴつ、ほん、みず、かさ、はさみ、れいぞうこ、そうじき、、、
いつの間にか読めるようになったお母さんに助けてもらいながら、楽しく飛び回って練習した。残りは2回。動詞でコマンドゲームでもしようか。
カタカナ全部する時間はないなあ。うーむ。

summerkids

草上の鳩の壁紙2016/08/20

  2月に読んだ『地球は平らじゃない』には、1939年当時ガートルート・スタインの「パリの家にある二つの部屋には "Pigeons on the Grass, Alas" の壁紙が貼ってある」と書かれていた。
その壁紙が見つかった

pigeongrass

「嗚呼、草上の鳩よ」"Pigeons on the grass alas." (YouTube)は、1934年にヴァージル・トンプソン Virgil Thomson によって作られた3幕オペラ『四聖人』の挿入歌らしい。舞台は16世紀のスペインでありセリフとしてスタインの詩が朗読された、ということは、どう考えても摩訶不思議な前衛作品だっただろう。作品中の詩の一つ「嗚呼、草上の鳩よ」が素敵な壁紙になった経緯は、まだ出てこない。
それにしてもゆったり微笑むスタイン、いつも不機嫌そうなトクラスもくつろいだ表情だ。この部屋は絵で埋め尽くされたサロンの上の階だろうか。窓から差し込む日が暖かい。

 写真が発見できたのは、最近よく使うようになった Pinterest のおかげだ。自分のキーワードで作ったボードに画像を集め始めると、アクセスするたびに関連する画像を見せてくれる。程よく準備される画像はどれもこれも興味を引く。って当たり前か、好みや行動傾向はどんどん読み込まれ、巨大データの中に絡め取られてるんだから。今さら抵抗はできないのだから、できるだけ楽しむことにしよう。

役立つ英語コミック本2016/08/01

 ル・コルビュジエ建築物の世界遺産登録が決まった時、何か参考書はないかと本棚を探ったら、これが出てきた。
英語で書かれた入門書で、コミックブック形式を採っている。が、コミックとは言え、おかしな悪ふざけ本ではない。現代建築の先駆者フランク・ロイド・ライトとル・コルビュジエについては20ページほどを費やし(p.132-51)、建築思想を対照的に説明している。最初の部分をまとめるとざっとこんなふう。
 ライトは中西部出身のカントリーボーイだった。彼の思想は19世紀作家ソローやホイットマンに由来し、20世紀初頭のアメリカにはなお革新的な先駆者精神や自由主義を表現しうる広大な大地が開けていた。
 ル・コルビュジエは、スイスでカルヴァン主義の時計職人の子として生まれた。パリでデザインを学び、キュビズム、シュールレアリズムなど前衛芸術活動の人々と知り合い、ピュリズムを創り出した。
 そして、ライトの水平に伸びる家は敷地の形状を生かし自然素材を使って建てられ、科学と合理性を重んじるコルビュジエの建物は敷地からピロティで立ち上がり、機械のように大量生産を可能にする工業資材で造られた。

 という具合にふんだんなイラストで解りやすい"For Beginners"シリーズは、Writers and Readers Publishingから出されている。複雑に語られがちな思想やテーマが気楽に楽しめるような本を目指しているという。

 


 上の二冊は古本だったため、今ではヨレヨレだ。哲学本は裏表紙に貸し出し票が貼ってあり、調べたところ元はミシガン州デトロイトから80km離れた中学校図書館のものだった。どこをどう通って、はるばるわたしの所へ来たのだろう。この本は数年前にも紹介したような気がするが、まあいいとしよう。未購入の三冊目は今年出版されたばかり。

NYデビュー100年のG.オキーフ回顧展2016/07/24

ジョージア・オキーフ Georgia O'Keeffeの短い動画を見つけた。



NYデビューからちょうど100年の回顧展のようだ。ロンドンのテート・モダンで、10月30日まで。けっこう遠い。行ったことはないが。
TATE MODERN EXHIBITION GEORGIA O’KEEFFE
泰然、超然というより、やはり毅然だろうか。芯が強く揺るがない。

まだブランケットの話2016/07/16

 19世紀末のイギリスから送られた大量のポイント・ブランケット写真を見ると、その背景にもちろん18世紀半ばからの産業革命があったことを思い出す。機械化でまず綿織物が発達したのは大西洋の三角貿易によるもので、毛織物が工業化されるのは18世紀末になってからだ。先住民族との毛皮交易 fur trading に、記憶の中で断片になっていたヨーロッパ史が繋がっていく。
ポイント・ブランケット研究のこんなサイトもあった。The Point Blanket Site
写真はハドソンベイ・カンパニーの歴史サイトから(1898年バンクーバー島フォート・ルパートのトレーディング・ポストクワクワカ'ワク族の人々)
pointbbunch

  ウールリッチ Woolrich は1830年イギリス移民のジョン・リッチがペンシルヴァニアに作った毛織会社であり、ペンドルトン Pendleton はイギリスの毛織技師トーマス・ケイが1863年にオレゴンで始めた会社だ。
それらの大きな会社以外にも、woolen mill と呼ばれる毛織物工場が各地にある。

 わたしの知る限りでは、ミネソタ州のベミジが有名だ。Bemidji Woolen Mills はポール・バニヤンと青い牛ベイブで知られるベミジの町で、1920年に創業された。木こり lumberjack が着る赤黒チェックのウールシャツと聞けば、あ、あれ?とイメージが浮かぶだろう。そう、それです。
memidji

 また、同じミネソタ州にはファリボールト Falibault Woolen Mill もある。南北戦争が終わった1865年にドイツ移民が(馬力の、ってどういう仕組みなのか想像できない)小さな毛織工場を作り、川沿いの水力利用工場を経て1892年「新工場」機械が導入されたそこでは今でも高品質のウール毛布や、軍隊用の丈夫な毛布が生産されている。地味だが、アメリカ中西部らしい質実剛健なミルだ

 旅先で woolen mill を見かけたこともある。ずいぶん前だが、カナダのプリンスエドワード島で小さな MacAusland's Woolen Mill に入ってみた。マコースランド MacAusland はスコットランド移民だろうか。1870年に製材所を始め、1900年頃から毛糸を1930年代から毛布を作っているという。こちらも年季の入った織機が堅実に、暖かく柔らかい毛布を作り続けていた。

 土地の作り出すものはそこで暮らしていた人々に代々受け継がれた文化を語ってくれるから、旅行は楽しいのだと思う。
 布類と言えば、プエブロ族の村チマヨの人々が織るラグ類や、モン族の刺繍布、サンプルの10cm角だけ買って額に入れたトルコ絨毯、瀕死のヴィネトウが肩にかけていたサルティヨ毛布(カール・マイの冒険小説)などもあった。サルティヨ毛布って何?と思ったら、よく見かけるメキシコっぽい明るい色合いのストライプ毛布でした。そして、きっと憧れのまま終わるであろうナバホ族の美しい手織りラグ、、、
これからもいろいろなものに出会い、ため息をつくんだろうなあ。

ハドソンベイの毛布(第15次遠征隊おまけ)2016/07/15

 春に見た『レヴェナント』と『ハドソン湾クエスト』から、マウンテンマン、トラッパー、ヴォエジャー、ポーテージ、ペミカンなど気になるキーワードについて読み散らかし、旅先のヴィクトリアで関連項目を見つけて喜んでいたわけだが、何のことはない、バンクーバー空港出発30分前、ゲートのすぐ横に Hudson's Bay Company Trading Post なる店を見つけた。あら、こんなに有名な店だとは。

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 店内モニターが、会社の歴史画像を次々と映し出している。アジア系の店員さんに断って写真を撮らせてもらった。どの映像も興味深く20枚ほど撮っていると「本もあるけど」とカウンターの上に、大きな本をドンと置いてくれた。お礼を言って、せっせ、せっせと写真をさらに20枚ほど。
一番目を引いたのがこのページだ。

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 イラスト地図に、先住民 First Nations とハドソンベイ・カンパニーとの交易の様子がわかりやすく描かれている。HBCはチャールズ二世の勅許状を得て、1670年に設立された。トレーディング・ポストが極寒カナダの土地に広がっている。

 そしてこんなページもあった。HBCのブランケットでできたコートを着て馬に乗るFirst Nationsだ。毛布は白地に緑、赤、黄色、黒のストライプが入っている。空港の店内には同じストライプの、毛布だけではないセーター、トートバッグ、マグカップ、帽子などがたくさん並んでいた。
trading

 その後調べたこと:
 先住民がビーバーの毛皮と交換したものの一つが良質な毛布だった。注文を受けてストライプの毛布を初めて作ったのはイギリス、オクスフォードシャーの毛織業者トーマス・エンプソン、1789年のことだった。ストライプ毛布の人気は高く、毛皮との交換ポイント・システムが作られた。横に小さくつけられた黒い線の数でビーバーの毛皮との交換レートが決まるというものだ。例えば黒線3本なら毛皮3枚と交換された。毛布は縮みを考慮し2倍の大きさで織られてから圧縮され、厳しい冬の寒さにも十分に耐える質の高いものだった。
 その伝統は今も受け継がれ、カナダのアイコン的存在になっている。現在製造しているのはイギリスの AW Hainsworth だが、アメリカの WoolrichLLBean などでもライセンス生産され、また Pendleton も同じパターンのストライプ毛布(Gracier National Park Blanket 国立公園シリーズの一つ)を作っている。

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参考:
The Canadian Encyclopedia Hudson's Bay Company

ヴィクトリア1日ツアー(第15次遠征隊#6)2016/07/10

 州都ヴィクトリアに行く方法はいろいろあるが、出発前、現地ツアーに申し込むことにした。検討して選んだのは往路が水上飛行機、復路はフェリーというもの。
 水上飛行機 seaplane のターミナルは、バンクーバー港に面したカナダ・プレイスにある。予約メール(体重を自己申告)のプリントだけで大丈夫?とやや不安だったが、個人参加型のツアー内容はきちんと伝達されており、搭乗券と帰りのフェリー券入り封筒を渡された。さあ、出発だ。

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 しばらくすると、灯台が見えてきた!Lights by Map によるとウエスト・バンクーバーの Point Atkinson 灯台らしい(帰りのフェリーはガルフ諸島の Portlock Point 灯台付近を通過した)。海が美しい。島が美しい。
バンクーバーは曇りだったが、ヴィクトリアに近づくにつれていいお天気になった。
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 インナーハーバー到着後、ロイヤルBCミュージアムブリティッシュ・コロンビア州の歴史や First Nations についての充実した展示を見た。IMAXシアターのムービー "Living in the Age of Airplanes"も。ハリソン・フォードのナレーションが渋い(リンク先に素敵な予告編あります)。
それから街歩き。18世紀半ば、この Bastion Square ヴィクトリア砦の中心であり、ハドソンベイ・カンパニーの本社が置かれていたという。入り口に歴史資料がポツンと立っていた。
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 ヴィクトリアからのバスがそのまま、北のスワーツ湾でフェリーに乗り込む。乗客は船室でバンクーバー南のフェリーターミナルまでの時間を過ごす。着岸すると再びバスに乗り、バンクーバー中心部まで帰りは計約3時間。
正味滞在時間の短いツアーのため、有名なブッチャートガーデンには行けなかった(花より博物館)。州議事堂やエミリー・カーの家も時間切れだ。シアトルからのツアーもあるそうだし、またいつかね。
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