灯台へ(第13次遠征隊#1)2014/10/11

  9月の最終週から、アメリカ北東部のニューイングランド地方3州を回ってきた。ボストン空港から車で北へ。まず目指したのはメイン州の灯台だ。

  Portland Head Lightポートランド・ヘッド灯台は、ポートランド市内から30分ほどのCape Elizabethエリザベス岬にある。メインの灯台の中で、最も有名なものの一つだろう。もちろんわたしもエドワード・ホッパーの絵を見てやって来たのだ。
静かな静かなホッパー、でも灯台の周りはひっきりなしに訪れる観光客でにぎやかだ。
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  そして、もうひとつの有名な灯台。
あれ、どこかで見たなあ、と思いませんか?
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  はい、正解。何かに突き動かされて走り始めたフォレスト・ガンプが大西洋側に達して折り返すのが、ここMarshall Pointマーシャルポイント灯台です。数年前ジョージア州サヴァナの歴史博物館へフォレストのベンチを見に行った人(自分だ)、かなりのファンと言える。
灯台のギフトショップにあるゲストブックには、大勢が "Run, Forrest, run!" と書いていた。

  メイン州には、およそ70の灯台が点在している(資料:Discovering Maine's Lighthouses and Harbors)。9月のOpen Lighthouse Dayには10数カ所の灯台内部が公開されるようだ。

  ところで、今回の「第13次」遠征隊、数字の吉凶が少々気になっていたせいか、レンタカー契約トラブルと体調不良でけっこうヘビーな旅行だった。が、普段と違うめげない旅行人格の出現(または憑依?)と、同行者の明るさに助けられ、無事帰国。長期消化不良もずいぶんよくなった。忘れないうちに備忘録をつけておこう。

ニューイングランド、秋のドライブ(第13次遠征隊#2)2014/10/11

  「ペノブスコット湾の水面に  岩勝ちのみぎわを見せる  小島のつらなりの上で  みてごらん  世界のときが  ゆきすぎるのが  みえるから」
という出だしを、今でも諳んじることができる。以前も書いたが、子供たちに幾度も読み聞かせした『すばらしいとき』(ぶんとえ  ロバート・マックロスキー)だ。
「湾のかなた  三十マイルさきの  カムデンの山の上に、、」
登ってみた。(画像はクリックで拡大)

penobscot

  Camden Hills State Parkカムデン・ヒルズ州立公園はメイン・コースト沿いの1号線を上がった所にあり、湾を見下ろすバティ山の頂上近くまで車で行くことができる。紅葉はまだ始まったばかり。けれども、澄み切った広い空と島々が浮かぶ青い湾の美しさに息をのんだ。マックロスキー・ファミリーの住んだ小島は遠く左手にあるはずだ。


  出発前、ニューイングランドの紅葉地図New England fall foliage mapを毎日のようにチェックした。ボストン空港からメイン州、ニューハンプシャー州、ヴァーモント州を5日間走った後ボストン3泊という旅程を立てたが、紅葉の進み具合を考えると、まずボストンで過ごしてからドライブを始めたほうがよかったのではないか、などと後悔していたのだ。
でも、心配無用だった。(画像クリック)

kanc

  ニューハンプシャー州中間部ホワイトマウンテン地区のKancamagus Highwayカンカマガス・ハイウェイは、地元の人々にカンクと呼ばれる紅葉の名所だ。9月最終週には、素晴らしい景色が広がっていた。緑、黄、赤の木の葉に、白樺の白い幹とゴツゴツした岩の灰色がところどころに混じる。高校時代からの友人のこちらもカラフルな人生譚を聞きながら、ゆっくりと車を走らせた。

*今回は行程を追わず、印象深いポイントを簡単に記録する。

コテージとB&B(第13次遠征隊#3)2014/10/12

  行き当たりばったりのロードトリップというのを一度してみたいが、旅行は予定を立てるのも面白いのだ。最近はホテル予約サイトを幾つか見て、Tripadvisorなどで評判を確認し、朝食&wifiつきの手頃なホテル/モーテルを簡単に押さえる。とは言え、経験値上がってるぞ。今回はこんな所にも宿泊した。

seascape

eastmaninn

  上はペノブスコット湾沿いのベルファストに建つコテージ、下はニューハンプシャー州ノースコンウェーの築100年を超えるB&Bだ。どちらもあらかじめ、道路の向かいに地元の人にも評判の良いレストランがあることを調べておいた。車で出るとなるとローカルビールは飲めないので。
  Seascapeコテージの向かいにあるPapa J'sでロブスターとメイン・ビールを、Eastman Innの向かいにあるMuddy Mooseではバッファロー・バーガーとニューハンプシャー・ビールを、これぞ旅行の楽しみと注文したけど、お腹の絶不調が予定外でありました。

メイン州の画家たち(第13次遠征隊#4)2014/10/12

  ヴァーモント州のシェルバーン博物館で、アンドリュー・ワイエスのSoaring(滑空)を見た。手前の部屋に並んだグランマ・モーゼス作品でふんわり緩んだ気持ちが、たちまち冷やされ、きりりと(嫌なものではない)緊張感を帯びた。

soaring

  アンドリュー・ワイエスと言えば『クリスティーナの世界』だろう。よるべない孤独感と同時に、精神の気高さが描かれているという。空高く飛ぶワシから伝わってくるのもそれなのか。

  旅行の最終日、ボストン美術館に着くと、ジェイミー・ワイエス展が開かれていた。意外なことだが、アンドリューの息子はファクトリー時代のアンディ・ウォーホルと親しかったそうだ。

jamie&andy
andybyjamie

  エドワード・ホッパー、ロバート・マックロスキー、そしてアンドリューとジェイミー・ワイエス父子(さらに祖父のNCも)、何の予備知識もなく好きなものを眺めているうちに、メイン州の画家が少しずつ繋がってきた。荒れた海を描いた19世紀末のホーマーも、そう言えばメイン州だった。
オキーフやジェイコブ・ローレンス、ポロック、ポップアーティストたちとは異なる、写実的「アメリカ」は強靭で誇り高く、寡黙だ。

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ボストンのタスク(第13次遠征隊#5)2014/10/14

  タスクは3つあった。
旅行仲間Mはその日、市内観光ツアー&湾内クルーズに出かけるという。朝食を一緒に取った後、わたしは徒歩と地下鉄とバスでバタバタ走り回った。

1、ボストン・パブリック・ガーデンで「かもさんおとおり」の像を見ること。
この絵本もR.マックロスキー作、もちろんアメリカの子どもたちは誰でも知っている。ほーら、大人気。
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2、アンダーグラウンド・レイルロード(黒人奴隷解放のための地下組織)の運動家ハリエット・タブマンの名前がついた広場へ行くこと。
数年前から資料集めをしているが、全然まとめていないテーマのひとつ。

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3、JFケネディ図書館&博物館のヘミングウェイ・リサーチ室で、資料を見ること。
リサーチには事前予約が必要で、日本からのメールに返事はなかったが、朝電話したら難なくアポが取れた。指定の時間に入室し用紙を記入すると、1年間有効!!のIDが発行された。所属特になしの一文学ファンも、これで貴重な手書き原稿などを調べることができる。
 部屋に収められているのはキューバからメアリ夫人が持ち帰った書籍・資料類、ヘミングウェイの親類がしとめたライオンの剥製、アーネストそっくり青年をモデルに描かれた絵(係員の説明による)など。
 書庫を自分で探るのではなく、請求して机の並ぶ別室に運んでもらう。わたしはヘミングウェイの書簡 incoming letters from Gertrude Stein and J.D.Salinger, outgoing letters to G.Steinを参照させてもらった。ぞくぞく興奮の2時間。
 スタインからの便せんにはパリ、フルール街の住所が印刷され、戦地からサリンジャーが出した封筒の宛先はキューバのフィンカ・ビヒアなのだ。
 カウンターの係員にお礼を言って退室する時、「また明日も来るか?」と尋ねられた。うう、次はいつだろう。

JFKHemingway


Live Free or Die(第13次遠征隊#6)2014/10/15

 今年のマップを貼り付けておこう。マサチューセッツのボストン・ローガン空港からまず北に上がり、それから西に進んで、5日目にボストンに戻るルートだメイン州フリーポートのLL Bean本店やショッピングモール、州立公園、灯台、ホテル、レストランなどにマークがつけてある。

2014route

 大西洋沿いに小さな町が点在するメイン州、ゴツゴツした岩山と木立のニューハンプシャー州、なだらかな丘陵のヴァーモント州、ニューイングランド地方と言ってもそれぞれの風景には特色があった。紅葉のピーク間近な森の道を、レンタカーの赤いプリウスが快調に走った。5日間の走行距離は、およそ1,400kmだった

livefreeordie

   "Live Free or Die" これはニューハンプシャー州のスローガンだそうだ。かっこいいなあ。自分を縛らず、自由に生きるのだ。
とは言え立場上しなければならないことはあり、それらをせっせと片付け、つじつま合わせて出かける旅行ではあります。
ここまでに走った州は合計41州になった。さあ残りはひと桁だ。ガイドブックにほとんど取り上げられることのない州ばかりだが、その土地を味わう、いい旅をしたい。

紙の本がすごいのはなぜ?2014/10/21

 ストランド書店のメールにあった画像が面白くて、保存しておいた。せっかくだから、ここに貼り付けておこう。
このイラストの入ったブックトートやTシャツも出ているらしい。

realbooks

 そう、本はいい匂いがして、革製だったり、かっこいい表紙がついていたり、見た目がきれいだったりする。サインするとか、余白に書き込むとかできて、ソフトのアップデートはいらないし、画面が光ったりもしない。古くなるともっと素敵になることもあり、柔らかいし親指乗せて持ちやすく、友だちに貸したりできるよね。
 e-bookを読むことに少し慣れたこの頃、紙の本のゆるゆるとした形状がむしろ魅力的だ。今年は久しぶりに、神田の古本まつりに行ってみようか。