TED-Ed 言語の進化2014/06/01

 TED-Edの動画が、現存する3,000から8,000もの言語の進化について、簡単に解説していた。
 日本語は歴史言語学上、どの祖語グループにも属さないと読んだことがある。確認したところ、文法的にはトルコ語や韓国語と同じSOV型のウラル・アルタイ語族だ。また、音韻的に開音節のマレー・ポリネシア語族という説は、オーストロネシア語族(南方語族)という新しい分類に変わっていた。
 アニメは、祖語を遡ることの難しさを軽快に語る。似た言葉だから同族だとは言えないのだ、"boy"と"boya"坊やのように。基本語彙、統語法、発音などの文法的研究だけでなく、民族の歴史的地理的変遷も考慮に入れなければならない。
ともあれ、バベルの塔の下でうごめくわたしたち。



 春学期は休職しているが、調整可能だったので5月に1週間余りの単発グループレッスンを引き受けた。EU数カ国の学習者は、もちろん30億人が属するインド・ヨーロッパ語族言語を母語としている。
「どうしてそんな語順になってる?」
最初はみなその辺りで引っかかる。でも違いを面白いと感じれば、基本ルールに沿って日本語を「話す」のは難しくない。進歩の見える楽しいクラスだった。

講談社版 赤毛のアンシリーズ2014/06/04

 NHK『花子とアン』のおかげで、物入れの奥を探ったり、引っ張り出したものを読んだりしている。休職中なのに、何だか忙しい。いや、暇だからこんなことしてるんでしょ。
 検索したところ、このブームで村岡花子さん訳の講談社版アン・シリーズを懐かしく思う昭和の本好き少女が、他にも大勢いるようだ。
 手持ちの本画像を置いておきます。色あせてしまいましたが、これです。
他にモンゴメリ関連の本数冊。新潮文庫のエミリーやパットはまだ掘り出していない。

annbooks

 『アンのゆりかご』によれば、最初の赤毛のアン』は1952年(昭和27年)三笠書房から出版され(その経緯がこれから連続ドラマに出てきますね、きっと)、5冊目まで刊行。それが講談社に引き継がれ、1964年(昭和39年)から10冊シリーズが順次出版されたらしい(各巻350円)。その間1冊目の赤毛のアンだけが偕成社や講談社の少年少女文学全集にも収められている。(国立国会図書館データベース検索)

 ルピナス色(PEIらしい花)の箱入りシリーズは、村岡さんの巻末解説も鈴木義治画伯の挿絵もこの上なく素晴らしい。
翻訳の文体はもちろん古めかしいし、省略も指摘されるなどして、その後読みやすい抄訳や完全訳が何冊も出版された。が、村岡さんの日本語の、この格調の高さはどうだろう。遠い中学生の頃、アンの本を美しく端正な日本語で読んだことを、わたしはとても幸運だったと思っている。

チェーホフの帽子、少し本のこと2014/06/13

 マラマッド『レンブラントの帽子』(夏葉社)を読んでいたら、2つめ「引き出しの中の人間」にチェーホフの帽子も出てきて、レンブラントのほうはあの白いゆるゆるのやつだよねと納得したのだが、ショッピングモールの通路を歩きながら、そもそもチェーホフってどんな顔だっけ?、と急に疑問が浮かび、取りあえずSiriに「ロシア人、文豪、チェーホフ、帽子」と尋ねてみると、明るい声でハキハキと近くの吉野家の場所を教えてくれようとした。
 帰宅してパソで画像を見ているが、このつばのついた小さめの丸い帽子のこと? それとも耳あてのついた裏に毛皮が張ってあるもの? チェーホフの風貌は、最近のエリック・クラプトンにどこか似ている。

 知らなかったが、マラマッドやベロー、アップダイクなどが今では絶版になっているらしい。かつては文庫で手軽に読めたのに。
『レンブラントの帽子』のような良質の本が、読み続ける価値のある他作品の再出版にもつながるといいと思う。あるいは、オンデマンドで個別オーダー、紙かデジタルを選択、なんて日も近いのだろうか。

フェルメールの帽子2014/06/17

 帽子というキーワードが、ティモシー・ブルック著『フェルメールの帽子』(岩波書店)につながった。何という面白さだろう。
 「デルフトの眺望」が東インド会社へ、「兵士と笑う女」の兵士の帽子がカナダ、セントローレンス川の毛皮貿易へと展開していく。その跳躍ぶりは、陳腐な言い回しだが「時空を超えた知的冒険」そのものだ。ははー、先生、参りました。

 ブリティッシュ・コロンビア大学のティモシー・ブルック教授は、中国史がご専門のようだ。研究書が何冊も出版されているが、『フェルメールの帽子』は「作品から読み解くグローバル化の夜明け」という副題の通り、画家研究や作品論や美術史論ではない。フェルメール作品を仔細に眺める視線がヨーロッパからカナダ、中国へと広がり、17世紀の世界そのものを論じる。本は高い評価を受け、2009年にコロンビア大学の歴史賞を受賞した。
 発端はブルック教授が青年の頃のオランダ旅行だという。サイクリングで道路脇に転び、一晩お世話になった家で偶然目にした絵葉書への興味が、40年後、この壮大な物語として結実した。

 帽子は第二章、
「フェルメールが、帽子を複数持っていたのは間違いない。こんなことに言及した文書はひとつもないが、彼と同世代の社会的地位のあるオランダ人で、帽子をかぶらずに人前に出る者など一人もいなかった。」
フランス人毛皮商人、モホーク族、火縄銃、ワムパム(米国務省Eジャーナルイロコイ連邦wiki拙旅行記)、ビーバーの毛皮、ヒューロン連盟、、、わたしがずっと追いかけているアメリカ先住民のテーマが、兵士の派手な帽子に結びつく。これぞ、読書の醍醐味ですねえ。

 Asian Art Museum(サンフランシスコ)が 、iTunesUにブルック先生の講演を置いている。timothy brook vermeerで、"The Coins on Vermeer Table"(本では第三章と第六章の内容)を検索できるはずだ。