ハロン湾2008/03/23

 交通ルール無法地帯をライトバンがゆく。ぎゃー、危ないっ!最初は肝を冷やしていたが、1時間も乗ったら慣れてしまった。ハノイからハロン湾までは3時間、オートバイ自転車2人乗り3人乗りと乗用車トラック乗り合いバスが、センターラインの消えた信号のない道路をそれぞれの目的地に向かって、絶え間なく追い越しをかけつつ、交差点では絶妙のタイミングで4方向に、クラクション鳴らしながら走り抜けてゆくのだ。ホーチミンで信号を見たのは数回、首都ハノイですら信号は主要道路にしか設置されていなかった。太っていては生きてゆけないだろう。ベトナム人は機敏で逞しい。

 ハロン湾の港には、大小数多くの遊覧船が停泊している。大勢の観光客が到着してひしめき合っていたが、30分後にはそれぞれ契約の貸し切り船に乗せられていた。正午過ぎ、船着き場から一斉に遊覧船が出て行く。ベトナム人には皆、混沌をうまく処理する能力があるに違いない。

halongbay


 海の桂林は、聞いていた以上に美しい。しばらく船のデッキで風に吹かれた。大小の岩の間を、船はゆっくりと進んで行く。水上生活者の小舟や水上学校が見える。
 鍾乳洞のある島まで行く間に、船の中で調理された昼食をいただいた。途中で別の船から渡された揚げ春巻きも、スズキのトマトソースかけも、地味だがおいしかった。
 ダウゴー島に到着した観光客は、並んで階段を上る。規模の大きい鍾乳洞ティエンクン洞窟は、アジア的色彩でライトアップされていた。

 ところで、ハノイからはチン君に電話した。驚かせようと思っていたのに、彼もケチ君と同じで
「あー、Sせんせー、フン君に聞いたよー」
出発前に私が電話番号を尋ねた、まだ日本にいる学生から、親切に連絡が入ったらしい。
 チン君はハノイから3時間の町に住んでいるため会えなかったが、楽しく話ができてよかった。3年前の教室で「わっからないよう」を連発した素頓狂なやつだ。大人になったね。

 ベトナム航空の機内誌に、この国の簡単な歴史が載っていた。
 フランスの植民地統治を経て、ホーチミンがベトナム社会主義共和国の独立を宣言したのは1945年。それから対フランスの独立戦争があり、アメリカ戦争(ベトナム戦争を彼らはこう呼ぶ)があった。
 ミネソタの高校に、サイゴン陥落直後のベトナム難民ボートピープルの子どもとして、大阪の難民センターで生まれた生徒がいたことを思い出す。カンボジアを逃れた小柄なモン族移民の子どもたちも、きちんと大学を卒業しただろうか。

コメント

_ うらら ― 2008/03/24 21:16

世界中で教え子達と再会できるなんて、日本語教師の醍醐味ですね~

_ dragonfly ― 2008/03/25 00:51

うららちゃんにもぴったりの仕事だと思うんだけど、いかが?
ただし、驚くほど薄給です。英語使いのお仕事のほうが待遇は上なんじゃないかな。
でも、人と出会って知らないことを日々学べるので、日本語教えているんだよね、きっと。

_ Ryotasan ― 2008/03/30 20:04

昨年の5月にウィスコンシンの小学校を訪問したとき、モン族の先生と英語で話しました。

_ dragonfly ― 2008/03/30 23:55

Ryotasan、モン族の人たちはウィスコンシンやミネソタに数多く移り住んだのでしょうか。セントポールにはモン族の地域があると聞いたことがあります。独特の美しい手刺繍ものを作りますよね。
モン族の先生、いいなあ。アメリカ社会にしっかりとけ込む時期ですね。

_ 酒井知子 ― 2008/03/31 10:12

旅行、楽しまれたようですね。
アンコールワット、美しいです♪
今度、ゆっくりお話を聞かせてください。
池袋のベトナム料理屋などはいかがでしょうか?

_ dragonfly ― 2008/03/31 11:33

わあ、酒井先生、こんにちは。もうすぐ研究生活の始まりですね。
ベトナム料理、ぜひご一緒しましょう。
こちら本日は雨の動物園引率です。では、行ってまいります。じゃぶじゃぶ。

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_ Tombow Notes - 2016/01/31 22:07

 17日深夜から23日早朝まで、4泊+機中2泊でチェンマイを旅行した。旅の備忘録は後からざっと書くことにして、まずはタイ北部の山岳民族について。 タイの少数民族に興味を持っ