マチスのひまわり2011/08/18


sunflower2011

 所用の帰りに足を伸ばしたら、川村記念美術館のひまわりが咲きそろっていた。私たちをいたぶり続けたこの2週間の暑さも、季節の植物には喜ばしいものなんですね。4種類のひまわりの中で、今日特に見事だったのが「マチスのひまわり」だ。

 出かける前たまたまiBooksの書棚を整理し、著作権フリーになった"Matisse Picasso and Gertrude Stein"というeBookをぺらぺらめくったところだった。
 実験的なスタインの文体は、同時期にマチス、ピカソが絵で表現したものに通じるわけだが、関係節が続く代名詞の多い文の流れに、正直なところ目が回りそうになる。つまり、スタインの作品はモノや事柄の表面をなぞるようで、小説全体の意味は不明なのだ。
が、そこに文を読むことと絵を見ることの、普段気づかない共通点が潜んでいるようにも思う。

追加資料:Matisse Vase of Sunflowers 1898 (エルミタージュ美術館蔵) 
matisse_sunflowers

コメント

_ 美術館担当 ― 2011/08/19 18:10

美術館担当です。
文学のほうは全くわかりません。(^^;

スタインは金関寿夫訳で少し読みましたが、解読の糸口がつかめませんでした。:-*

お馬鹿なので、Wiki 日本語版の記述がよくわかりませんでした。*-(

ちょっと整理してみました。

1)アルフレッド・スティーグリッツの『カメラワーク』1912年8月号がマティスとピカソの特集号。この号にスタインが書いたマティスとピカソのエッセイが掲載された。

2)これがスタインの文章の一番最初の出版となった。

3)スティーグリッツは、ジョージア・オキーフと1924年に結婚した。
http://www.okeeffemuseum.org/biography.html


Wiki とかちょっと見てみたのですが、スタインがサロンを開いて、マチスやピカソが出入りした時期は、だいたいキュビスムのような絵を描いていた頃のようです。

スタインの文体もキュビスムに通じるものがあるのかもしれませんね。

> 文を読むことと絵を見ることの、普段気づかない共通点

繊細で鋭い感性をお持ちのdragonfly先生だからわかることなのではないでしょうか。

ここまで書いたら、金関寿夫『現代芸術のエポック・エロイク ----- パリのガートルード・スタイン』(青土社 1991)を読むように、との天の声がしました。(^^;
この本絶版なんですが、どこかの公立図書館にあるとおもいます。
都内図書館の横断検索をしてみます。

_ dragonfly ― 2011/08/20 23:14

Kさん、色々な情報をありがとう。金関先生の本、リクエストしました。

おととしニューメキシコ州のアビキューへ行く前に、オキーフ関連の本を幾つか読みました。遠征隊記録に書いたけど、サンタフェのオキーフ美術館では、運良くスティーグリッツの写真展が開かれたの。

その後、HBOのテレビ映画"Georgia O'keeffe"を見たり(ジョン・アレンがオキーフ役、ジェレミー・アイアンズがスティーグリッツ役)
アンセル・アダムスとオキーフの親交にも興味を持ったり、

一方、スティーグリッツのスタジオとスタイン、マティスやピカソに目を向けると、ヘミングウェイやドス・パソスにもつながり、
さらにジェラルド・マーフィ夫妻やフィッツジェラルドへと広がって行くでしょう。
もう、どこから手をつけてよいのか分かりません。少しずつ塊りをほぐしているような状態です。
もちろんその作業が楽しいんですが。

何かレポートのようなものが書ければ、載せてみようかしら。こういうものに興味を持つ人が、広い世の中のどこかにいるかもしれない...

_ 美術館担当氏から_転載 ― 2011/08/24 21:43

レポート、是非是非まとめてください。
このところ、シュルレアリスムや20世紀初頭の文化を再評価しようとする機運があります。日本で言えば、瀧口さんや巌谷國士先生の仕事を相対化しようとする第2世代が登場してきています。
今だと、ちょうどタイムリーな感じがします。
印刷・製本してコミケや文学フリマで売りましょう。:-)

スタインなどの記述は Wikipedia よりも、Yahoo!百科事典の新倉俊一氏の解説のほうがわかりやすい気がします。
#Yahoo!のほうが執筆者名がわかるので信頼性が高いです。

20世紀初頭の文化と前衛芸術について、私はわかってないなぁ、といつも感じています。きちんとした文章が書けません。:-(

昨日、図書館で借りてきた金関先生の『ナヴァホの砂絵 ----- 詩的アメリカ』(小沢書店・1980)を、酔っぱらって拾い読みしていたら、やはり、ピカソ、スタイン、オキーフについて全体の1/3 くらいのページがあてられているようにおもいました(酔っぱらいの感覚はいい加減です)。
スタインとマルセル・デュシャンと交流があったことがわかって楽しかったです。

国立情報学研究所の Webcat などで検索して、金関先生の著書の目次を確認した方がいいようにおもいます。

もう少し勉強します。

_ dragonfly ― 2011/08/24 22:13

美術館担当Kさんからのメッセージを転載させていただきました。ありがとう。

それにしても、調べたいことがたくさんあり、ちゃらんぽらんになってます。
金関先生の『現代芸術のエポック』めっぽう面白いですね。
ジュンパ・ラヒリを時々読んで、今日はデンゼルの『マルコムX』も借りてきたし、ああ、時間が足りない...
涼しくなったら、少し落ち着いて取り組めるでしょうか。

> 印刷・製本してコミケや文学フリマで売りましょう。:-)

あは、それは無理ですが。
そうそう、新聞社勤務だった高校の友人が独立して出版工房をしていますよ。Kさんも是非、何かまとめて下さいね ;-)

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