スペインにいる娘が「春は友だちとの旅行で忙しくなりそうだから、クリスマスに来れば？」と言ってきた。ヨーロッパはかなり以前、夫のロンドン出張に合わせ、当時３才の息子を連れて行って以来だ。あの時はミシュランの☆仰ぎつつ、シャンゼリゼでマクドナルドを食べたっけ。いつかまた行こうと思っていたから、その時期が来たとも言える。

　でも、正直なところ、ヨーロッパにはアメリカほどの関心を持っていない。スペインは地名を知っている程度の、無学無教養無調法な私である。どこへ行こうかと地図を眺めているうちに、あることに気づいた。いえ、誰でも知っていることでしょうけど、
　モロッコ！
スペインのすぐ南にあるんですねー。モロッコという響きに、ふつふつと反応するものがあった。
　
　というわけで、この10日間、航空券を探し回り、ホテルを検索しまくり、ガイドブックを読み散らかしている。３泊分のホテルとスペイン国鉄チケットの手配を除いて、旅程は大体固まってきた。

　初級クラスで教えているマヨルカ島出身のルイスに、少々アドバイスを求めた。
「マーロッコーッ？　行かなくていい。先生、スペインだけで見る所たくさんある」
「でもジブラルタル海峡渡って、アフリカ上陸、って私にはsomethingなんだよね」
「へーえ、ぜーんぜん理解できない」
一蹴されました。