グランドティトンの山々(第15次遠征隊#2) ― 2016/07/01
そこにあるのは山と森と湖と川、イエローストーンのように変化に満ちた景観がわたしたちを驚かせるわけではない。けれど、帰国してみると、最も深く心に刻まれているのは峻厳なティトン連山なのだった。
国立公園の公式マップには、20を超える景観ポイントが示されている。幾つかのポイントに立ち寄り、その度に息をのんだ。
ジェニー湖 Jenny Lake から
Jennyというのは毛皮狩猟者リチャード・リー Richard Leigh(またの名はBeaver Dick)の妻になったショーショーニー族(サカガウィアと同じ)の女性の名、とポイントの説明板に記されていた。ディックは1870年頃行われたイエローストーン地区ヘイデン地理調査のガイドの一人だったという。

スネーク川沿いのオクスバウベンド Oxbow Bend Turnout から
"11,000 summers in the Tetons"という説明板が立っていた。現在ここを訪れる年間数千人の観光客同様、1万年以上前からネイティヴ・アメリカンたちもこの「雄牛曲がり」で夏を過ごし、木の根や果実、道具として使う黒曜石などを集めたという。

アンテロープ・フラッツ道路 Antelope Flats Road から
有名な撮影ポイントらしく(映画『シェーン』ロケーションもこの近く)、本格カメラを持った人たちが三脚を立て真剣に4000mの山と向き合っている。
ここにはかつてモルモン教徒の集落があり、20数家族が助け合って暮らしていたそうだ。残っているのはこの納屋、小さな小屋とフェンス。そして厳しく美しいティトンの山々だ。

もしイエローストーン周辺へ行くことがあったら、最低半日はグランドティトンも予定に入れるとよいと思う。ムース・ジャンクション Moose Junction 近くの小さなトランスフィギュレーション礼拝堂 Capel of the Transfigurationや、穏やかな馬たちのいるカニンガム小屋歴史地区 Cunningham Cabin Historic Site なども足を延ばす価値は十分にある。
もう少し時間があれば、ジャクソン・ホールの歴史博物館 Jackson Hole Historical Society & Museum にも行きたかった。アメリカ旅行で面白いのは、本や映像では見つけられない、その土地だけのローカルな歴史なのだ。
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