ハドソンベイの毛布(第15次遠征隊おまけ)2016/07/15

 春に見た『レヴェナント』と『ハドソン湾クエスト』から、マウンテンマン、トラッパー、ヴォエジャー、ポーテージ、ペミカンなど気になるキーワードについて読み散らかし、旅先のヴィクトリアで関連項目を見つけて喜んでいたわけだが、何のことはない、バンクーバー空港出発30分前、ゲートのすぐ横に Hudson's Bay Company Trading Post なる店を見つけた。

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 店内モニターが、会社の歴史画像を次々と映し出している。アジア系の店員さんに断って写真を撮らせてもらった。どの映像も興味深く20枚ほど撮っていると「本もあるけど」とカウンターの上に、大きな本をドンと置いてくれた。お礼を言って、せっせ、せっせと写真をさらに20枚ほど。
一番目を引いたのがこのページだ。

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 イラスト地図に、先住民 First Nations とハドソンベイ・カンパニーとの交易の様子がわかりやすく描かれている。HBCはチャールズ二世の勅許状を得て、1670年に設立された。トレーディング・ポストが極寒カナダの土地に広がっている。

 そしてこんなページもあった。HBCのブランケットでできたコートを着て馬に乗るFirst Nationsだ。毛布は白地に緑、赤、黄色、黒のストライプが入っている。空港の店内には同じストライプの、毛布だけではないセーター、トートバッグ、マグカップ、帽子などがたくさん並んでいた。
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 その後調べたこと:
 先住民がビーバーの毛皮と交換したものの一つが良質な毛布だった。注文を受けてストライプの毛布を初めて作ったのはイギリス、オクスフォードシャーの毛織業者トーマス・エンプソン、1789年のことだった。ストライプ毛布の人気は高く、毛皮との交換ポイント・システムが作られた。横に小さくつけられた黒い線の数でビーバーの毛皮との交換レートが決まるというものだ。例えば黒線3本なら毛皮3枚と交換された。毛布は縮みを考慮し2倍の大きさで織られてから圧縮され、厳しい冬の寒さにも十分に耐える質の高いものだった。
 その伝統は今も受け継がれ、カナダのアイコン的存在になっている。現在製造しているのはイギリスの AW Hainsworth だが、アメリカの WoolrichLLBean などでもライセンス生産され、また Pendleton も同じパターンのストライプ毛布(Gracier National Park Blanket 国立公園シリーズの一つ)を作っている。

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参考:
The Canadian Encyclopedia Hudson's Bay Company