ジュンパ・ラヒリ『低地』2014/12/15

 ジュンパ・ラヒリの長編2作目を読み終えた。今年読んだ本のベスト3に入るだろう。よい本はいつもそうだが、読み終わるとしばらく放心状態になる。

 インドのコルカタとアメリカのロードアイランド州、1950年代から50年以上に及ぶ家族の物語だ。ベンガル州のナクサライト運動(民主化運動)が暗く長い影を落とす。兄弟とその妻、子、語り手が入れ代わることで、作品はより厚みを増した。でき事を人はそれぞれの立場で経験し、それぞれに苦しみ、記憶する。家族であっても、心に残るものは同じではないのだ。
 テーマは家族の歴史、親であること、、、愛、喪失、人との隔たりや別離、忠節と裏切りなどでしょうか、と英ブッカー賞候補になった昨年、ジュンパ・ラヒリ自身が説明している。(賞はニュージーランド人作家エレノア・カットンの "The Luminaries" が受賞)