MacBook Air G4が来た!①2025/07/13

 iMacでのonlineプライベート・レッスンは4年目、レインボーぐるぐるマークとの闘いに疲れ果てていたところへ、MacBook Airがやって来た。
(ありがとう息子♡と、Amazonプライムデー;-)

 ZoomまたはGoogle Meetで海外と繋ぎ、週に数回、1−2時間のレッスンを行なっている。仕事は引退かと思っていたけれど、(コストの安くなった)日本への留学希望者が増加し、またビザ発給の条件として一定の日本語力が必要とされるようになったため、来日前の学習申し込みも増えたのだ。その流れで、ここ最近、シニア教師もカナダ、イギリス、タイ、イスラエルなどの学生を担当している。

 ところが、問題は8年目のiMacだった
 しばらく前から動きが悪くなっていたから、遅くても30分前にはZoomとChromeを立ち上げ(ぐるぐる〜)、続いて教材PDFをAdobeで開きぐるぐる〜)、必要ならプレビューで画像も用意しぐるぐる〜)、音声ファイルが正常に再生されるか確認し(ミュージック・アプリを使うこともある、ぐるぐる〜)、、、と、各作業開始に数分かかっていた。レッスン中は何とか動いたものの、4、5種類のアプリを同時にこなすのは、もはや無理だったのだろう。
 もちろん、重くなったMacを回復すべく、セーフモードやNVRAMリセット、キャッシュのクリア、ディスクユーティリティなどを何回も試したが、効き目はなかった。レッスン開始直前に固まってしまい、
「ごめん、マックがフリーズした。10分待ってね」
とiPhoneから学生にメールを出すことも増えていた。

 さて、わくわくのMacBookだが、到着初日には冷や汗たら〜りのトラブルがあった。データ移動前に様子を見ようと、まず、ChromeをインストールしてGoogleにログインしiCloudを開いたら、どうしたことか、クラウド・ドライブ内のファイルがごっそり消えている!10個ほどのフォルダはそのまま残っているのに、中身が空っぽなのだ。iPhone、旧iMac、新MacBook Airどこからアクセスしても、数百あったはずのファイルは影も形もなかった。うわあ、一番大切な本のファイルが!
 深夜、途方に暮れながら、Appleサポートの窓口(電話)を確認して、ひとまず休むことにした。

12月のペナン5日間2025/01/07

 ペナン旅行の計画を立て始めた時、必ずしようと思っていたことがある。マレーシア・ラクサを食べること、17年前に教えたK君に会うこと。

 K君のいた2007年の初級クラスは少人数で学生が確か10人、旧校舎の教室は小さく、エアコンの代わりに冷風扇が置いてあった。
会話の練習で人数が足りない時には、その冷風扇、愛称「エアコン君」が誰かとペアになり、シュールなオリジナル会話を作ったりする楽しいクラスだった。
今、教室記録の写真を探し出してみると、R2D2っぽいエアコン君を取り囲むようにして、様々な国からの学生たちが笑っている。
 そのクラスにいたとりわけ愉快で心優しい青年がペナン出身のK君で、フェイスブック上のつながりがずっと続いており、ペナンに行くなら絶対に会わなくちゃ、と思っていたのだ。
けれど、旅行の連絡をする直前に、K君は亡くなっていた。
なんて悲しい残念なことだろう。
弟さんよると、とても進行の早いガンだったという。お願いして、お墓参りをさせていただいた。

 そんな12月のペナン5泊だが、幼なじみMとの旅行に娘も合流して、街歩きはわいわいにぎやかだった。写真を何枚か置いておこう。

 島の北部、海沿いのホテルに宿泊した。アプリGrabで車を呼び、ジョージタウン市内やナイトマーケットに移動。時間がゆっくり流れていた。
Panang1

 プラナカン・マンション 絢爛豪華な邸宅
Penang2

 世界遺産の旧市街には、数多くのストリートアートがある。
Panang3

 美しいブルーマンションは、中国出身の実業家が19世紀末に建てた家だ。
Penang4

 もちろん行きましたとも、ラクサの有名店 うまい!
Panang5

 Jettyと呼ばれる水上集合住居の壁にもアートがあった。
Panang6


なるほど、リユース2024/10/22

 今年も細々と、オンラインのプライベートレッスンが続いている。
ありがたいことだけど、あらら大変、来週から始まるレッスンは「みんなの日本語初級2」指定だ。困った。しばらく前に、もう使わないだろうと思うテキスト類をごっそり処分してしまったのだ。今さら新品は必要ない。何とか安く手に入れられないものか。
 アマゾン、ブックオフのサイトには希望価格のものがない。それで、遅ればせながらメルカリに登録してみた。
 
 始めてみれば便利で、なかなか面白いものですね。
日本語教科書が目的だったのに楽しくなって、ふらふらとPendleton(ネイティヴアメリカン好きなので)2枚購入し、続いて手持ちのバッグやら服やらを売りに出してしまった。
LLBeanトートバッグ1点お買い上げ!うふふ。
 さらに調べてみると、本はアマゾンを通して時々購入しているバリューブックスに、便利な買取サービスがあるらしい。というわけで、現在、部屋の隅に売れるかもしれない/もう読まないかもしれない本が山積みになっている。
 リユースはSDGsなのだ。CO2削減なのだ。なんて、いきなり目覚めたらしいけれど、実はまだ教科書を買っていません。どうするんだ。

旅行というもののまっとうな動機2021/12/16

 8回契約のオンライン・プライベート授業が、今日終わった。
関西地方で2年間のJETプログラム参加経験があるAさんはJLPT N2合格済みであり日本文化にも詳しい。どんな教材を使えばいいのか、毎回ない知恵を絞った。N1レベルの聴解問題、語彙、使えるN2文法、短文作成、ディクテーション、マンガサイト利用の漢字ゲーム、速読、そして読解。

 使用した上級学習者向け読解問題の中に、村上春樹の『辺境・近況』の一節があった。読んだはずだが覚えていないこんな部分。

=========問題============= 
指示語を問う

 ポール・セローのある小説の中で、アフリカにやって来たアメリカ人の女の子が、なぜ自分が世界のあちこちをまわりつづけることになったかについて語るシーンがあった。
(中略)
本で何かを読む、写真で何かを見る、何かの話を聞く。でも私は自分で実際にそこに行ってみないと納得できないし、落ち着かないのよ。たとえば自分の手でギリシャのアクロポリスの柱を触ってみないわけにはいかないし、自分の足を死海の水につけてみないわけにはいかないの。
(中略)
そして彼女はそれをやめることができなくなってしまうのだ。エジプトに行ってピラミッドに上り、インドに行ってガンジスを下り、、、そんなことをしてても無意味だし、キリないじゃないかとあなたは言うかもしれない。でもさまざまな表層的理由づけをひとつひとつ取り払ってしまえば、結局のところ<それ>が旅行というものが持つおそらくはいちばんまっとうな動機であり、存在理由であるだろうと僕は思う。

<それ>は何を指しているか。
1 自由になりたいという欲求
 旅を続けたいという欲求
 現実的な感触への欲求
 無意味な行動への欲求

========問題 ここまで=========

 コロナ時代、どこへも行けない旅好きなわたしたちの飢餓感は、つまり、現実的な感触への欲求が本や写真や話では満たされないことによるのだろう。
ミシシッピ川の源流ミネソタ州アイタスカ湖の冷たく澄んだ水と、河口にあるニューオリンズの泥んこ水に手を浸して、なぜあんなにも深く満足したのか、
飛び続けていた時には振り返る暇もなかったけれど。


半年ぶりの授業、それから2021/10/16

 半年ぶりにお声がかかり、今週、秋学期のクラス授業とオンラインの(アメリカ在住者)プライベート・レッスンが始まった。ずっと気ままに過ごしてきたので、使われていなかった脳の部分が慌てふためいている感じ。どちらも週一回だけど、緊張する時間があるのはよいことかもしれない。

 眠気が覚めたついでに、17日に終了する横尾忠則展に出かけた。
おお、何と濃密濃厚な極彩色の横尾ワールド!
600点に及ぶ大迫力の個展 GENKYOにぐるぐる巻きにされ、へとへとになって帰宅した。もちろんそうした刺激もよいことでしょう。

二月の教室、二月のベランダ2021/02/05

 春が近づいているとは言え、気をゆるめるわけにはいかない。今学期も当然オンライン授業だ。ただし(週1日だけ細々と担当している)Y校の場合、半月に一度登校日が設けられている。学生たちはその日に宿題をまとめて提出し、翌日から使用する配布物一式を受け取り、各課の確認テストを受けるという段取りだ。
 昨日が登校日だった。用心、用心。がっちりマスク。緊張しながらJR線に乗った。
けれど、久しぶりにクラスメートと会った学生たちはうれしそう、母国語のおしゃべりが止まりません。お〜い。
 確認テスト後「最近の気になる言葉」を各自発表した。ぴえん、ソーシャル・ディスタンス(カタカナ難しいよ、ベトナム語で何?)、三密、ソロキャンプ、、、
Zoom画面では仮面ライダー・アイコンのR君が、「あつ森」の説明をしてくれた。
 
Yclass2021


 立春を過ぎたベランダでは、11月に種を蒔いた春菊とほうれん草が今年も柔らかく育っている。ささやかなプランター菜園だが、サラダや青みに少し加えるのにちょうどいい。秋の散歩道からやって来たローズマリーも何とか根付き、小さな新芽が見え始めた。
たったそれだけの二月 ;-)

feb2021

受難の物語をなぜ読むのか2020/07/04

 数日前、タブマン紙幣の続報がCNNに出ていた。

tubmanBLM
 20ドル札の表にハリエットが登場するのは、すいぶん先になりそうだ。現政権下での発行は、言うまでもなく、あり得ない
 
 コロナ禍でやむにやまれずやみくもに開始されたZoom授業に翻弄され、ヘロヘロになりながら過ごした数週間だった。それぞれの場所にいる誰もが、初めて経験する劇的な環境の変化に疲れているだろう。出口は一向に見えてこないのだし。
 気ままな teach&fly 教えて飛んで生活がいかに幸せなことだったか、ひしひしと感じている。stay home 期間の収穫は、積ん読の山がだいぶ小さくなったことだろうか。ヴァーチャル美術館、クオモ兄弟、一ヶ月だけのNetflixでミシェル・オバマとマリッジ・ストーリー、近所の友だちと数回の海岸散歩、、、そうこうしているうちにBLM運動が激しくなった。

 テネシー州メンフィスの国立公民権博物館(ロレイン・モーテル)、アラバマ州モントゴメリーとバーミンガム、ジョージア州アトランタで、M.L.キング関連の公民権博物館を巡ったのは09年だ。それ以降もボストンの黒人歴史博物館、アーカンソー州リトルロック高校、シンシナティの地下鉄道博物館、スミソニアンのアフリカン・アメリカン歴史文化博物館など、何年もかけて、自分でも理解できない熱心さで足を運んだ。
学生時代のL.ヒューズから、ラルフ・エリスン、J,ボールドウィン、、マヤ・アンジェロウ、トニ・モリスン、、、コルソン・ホワイトヘッドも読んだ。そしてパンデミックの中のBlack Lives Matter、もう感情移入し過ぎて、胸が苦しくなるほどだ。これは一体なぜなのか?

 小野正嗣さんの文芸時評に答えがあった。朝日新聞の切り抜き(6月24日)は、同僚のY先生が講師室の引き出しに入れてくれたものだ。ありがとう、読書仲間。
「こうした黒人たちの受難の経験をなぜ僕たちは読むのか? たぶんそれらが、すべての<人間>につながる普遍性を帯びているからだ。
 警官に膝で首を押さえつけられ、母に救いを求めながら亡くなった人の姿に、僕たちが深く動揺するのは、彼が人種差別の犠牲者であると同時に、虐げられ辱められた者だからだ。彼の命とともに僕たちの中にある<人間>も辱められたと感じるからだ。 <文学>は、人種や言語の壁を越えたそうした普遍的な痛みをつねにその懐に宿し、決して忘れない。」