いつもの週末、いつもの図書館2025/01/12

 年末年始の(楽しい)イレギュラー期間が終わって、普通の日曜日が戻ってきた。
降っても晴れても、雨でも風でも、日曜は午前中に隅々まで掃除機をかける(シニア夫婦はそれぞれのテリトリーを分担)。必要に応じて(夫には指令を出して)拭き掃除も行う。
(これは毎日のことだが)お洗濯物を干し、電動ミルで豆を挽いてドリップで800mlくらいのポットにたっぷりコーヒーを入れる。
野菜ジュース、チアシードを加えておいたヨーグルト+黒豆とナッツ+ハチミツ、コーヒーで軽い朝食を摂りながら(現在あまり効果の上がらないダイエット中)、テレビはTBSサンデーモーニングを見る。

 夕方、3ブロック先の図書館分室に行き、いつも帰りに八百屋さんに立ち寄る。
今日は年末から借りていた『世界のアーティスト250人の部屋』 副題:人生と芸術が出会う場所 というすてきな本を返却し、届いていた『ソーンダーズ先生の小説教室』と 旅行ガイドブック2冊を受け取った。

saundersbook

 小説教室は560ページと分厚い本で、まだ「はじめに」の数ページに目を通したところだけど、
 スタインベックに出会った頃の若いソーンダーズはトム・ジョードと同じようにくたびれ果てており、小説がもたらすのっぴきならない世界の感じが、一見静かで内向きで非政治的な(実は絶え間ない検閲の恐怖のもとで書かれた)ロシア小説と共通の作用を持つのだから、
作品を読めばそれまでの自分ではいられないような読書体験を通して、
この劣化した現代をわたしたちはどのようにやり過ごせばいいのか、なにを為すべきなのか、どうすれば平穏を得られるのか、どうして喜びを感じて生きられるのか、
という言わばロシア的な大疑問を小説を読む時に働く頭の部分は、世界を読む時に働く部分でもあるので)考え続けるための助けになる本のようだ。

久しぶりに丸善で本を買う2024/11/18

 週末、友人と丸の内ランチの後、オアゾの丸善に立ち寄った。
そして、とても久しぶりに岩波文庫を2冊購入した。

2books

 ここ何年も、新聞の書評や広告などで気になった本を図書館にリクエストし、さんざん待たされた末に読んで、これは手元に置きたいと思うものだけAmazonなどで(中古本を)購入している。その方法なら増える本は年に20冊ほど。ものを増やしたくない年齢には程よいペースだと思う。
 けれど、ごくまれにリアル書店に足を運んでみると、知らずにいた本がずらりと並び何とも刺激的だ。海外文学コーナーで『ソーンダーズ先生の小説教室』を発見した。ロシア文学の講義らしい。ソーンダーズはシラキューズ大学の教授でもある。ん、そう言えば、シラキューズって、ルー・リードが詩を学んだ大学じゃない?その場で図書館にネット予約した。
 ルシア・ベルリン新刊の短編を一篇立ち読みする。これはもう、すぐにでも手に入れたい。娘からの誕生日祝いにちゃっかりリクエストしよう。

 上の階に上がると、今年亡くなった松岡正剛さんの「松丸本舗」についての説明が掲示されていた。あのめくるめく本の森があったのは、2009年からのたった3年間だったのか。

 それから広い文庫本コーナーの棚の間をゆっくり歩いた。
トニ・モリソンの強く美しい表情に目を奪われる。
サイマル出版版とポプラ社版(どちらも図書館の本)で2回読んだスタインベックのロードトリップ記録は、しばらく絶版になっていた。青山南さん新訳は出版されたばかりのようだ。

 レジでオアゾ20周年記念のカバーをかけてくれた。開店したばかりの頃は仕事帰りに時々立ち寄り、洋書売り場の椅子に座って(高過ぎて買えない)写真集や美術書を広げたものだ。

世間が面白くない時は勉強 その22024/11/11

 8年前のアメリカ大統領選でヒラリー・クリントンが敗れた時、
「世間が面白くない時は勉強にかぎる」という言葉があるそうだ(半歩遅れの読書術、國府功一郎、日経新聞10月16日)と書いたことを思い出した。
 あの時、落胆しながら、
頭脳明晰で比類ない経験を持つ女性、面白みに欠けるかもしれないが、公平で度量の大きなヒューマニストだと思う。そういう女性が次に登場するまでに何年かかるのだろう。
と憂いたけれど、そう長くはない時間を経て現れたのがカマラ・ハリスだった。
 理解しかねるアメリカの選択だ。世間は全くもって面白くない。この脱力感を何で埋めよう。

 という理由からかどうか、自分でもわからないが、
最近久しぶりに読んでいるイギリス文学が、これまでになく面白い。
ヴァージニア・ウルフ『燈台へ』、故ポール・オースターが言った通り、よい作品だった。
イアン・マキューアン『贖罪』、映画だけではない。怖いくらいの素晴らしさ。
そしてジェイン・オースティン『自負と偏見』、細部がなかなか愉快な話なのだ。

リユース、その後2024/11/03

 Vブックス宛に3箱、本をぎっしり詰めて送ったのが1週間前。
数日で査定結果のメールが送られてきた。外出中だったため、ざっと読んでOKしてしまったが、その後リストに載っていない本がずいぶんあることに気づき、問い合わせてみた。

 データベースに存在せず買い取れなかった商品や
査定対象外の商品は明細に記載できかねている、とのこと。
ふーん、そうなんだ。
 確かにかなり古い本(筑摩書房の太宰治全集とか)を入れたし、仕方ないとは思ったが、
査定額0で記載された新潮クレスト・ブックスが、サイトのトップページから検索してみると、買取り参考価格399円と表示されている。ジュンパ・ラヒリ作品を含むクレスト・ブックスは、どれも良い状態で本棚に並べておいたはず。
どういうことなのかな。

 リユースで大きなお金が入ってくるとは考えていなかったが、足を踏み入れてみると、いろいろ釈然としないことが起きるようだ。
 実は、本の整理と同時に、タンスに眠っていた着物の買取り依頼も始めてみた。現在、評判のよい3社に絞った出張査定が終わったところなのだが、これがさらに、違和感だらけの納得いかない腑に落ちない割り切れない状況なのだ。噂には聞いていたけど。
 今や高齢者となった昭和の娘たちのタンスには、たくさんの(かつて高価だった)美しい着物が大切にしまわれているわけで、同年代の友人たち数人に今回の査定結果を知らせることになっている。みんなびっくり!がっかり!だろうなあ。

なるほど、リユース2024/10/22

 今年も細々と、オンラインのプライベートレッスンが続いている。
ありがたいことだけど、あらら大変、来週から始まるレッスンは「みんなの日本語初級2」指定だ。困った。しばらく前に、もう使わないだろうと思うテキスト類をごっそり処分してしまったのだ。今さら新品は必要ない。何とか安く手に入れられないものか。
 アマゾン、ブックオフのサイトには希望価格のものがない。それで、遅ればせながらメルカリに登録してみた。
 
 始めてみれば便利で、なかなか面白いものですね。
日本語教科書が目的だったのに楽しくなって、ふらふらとPendleton(ネイティヴアメリカン好きなので)2枚購入し、続いて手持ちのバッグやら服やらを売りに出してしまった。
LLBeanトートバッグ1点お買い上げ!うふふ。
 さらに調べてみると、本はアマゾンを通して時々購入しているバリューブックスに、便利な買取サービスがあるらしい。というわけで、現在、部屋の隅に売れるかもしれない/もう読まないかもしれない本が山積みになっている。
 リユースはSDGsなのだ。CO2削減なのだ。なんて、いきなり目覚めたらしいけれど、実はまだ教科書を買っていません。どうするんだ。

4月のできごと①James Taylor 'Never Die Young'2024/04/27

  4月6日、幼なじみMとジェイムス・テイラーのコンサートに行った。
1970年"Sweet Baby James"アルバムからのファンなのだ。1日限りの公演を逃すわけにいかない。
 出だしはやや不安定だったけれど、すぐに変わらない温かい声が戻ってきた。
ハンチングはいつからかぶるようになったのだろう。前回2010年、キャロル・キングと一緒だった武道館Troubadour Reunion Tourの時、帽子をかぶっていたかしら。

James

 どの曲もどの曲も心に沁みていく。
6曲目の'Never Die Young'を歌う前、76歳のジェイムスは
「若死するな、ってもう僕には遅いけどね」
と冗談を言った。ああ、本当に若いうちに亡くならなくてよかった。
 ジミヘン、ジャニス、ジム・モリソン、サム・クック、ボブ・マーリー、、夭折したミュージシャンの名前なら次から次へと列挙できる。ロック・スターではないけれど、今でも時々聴きたいジム・クロウチやエヴァ・キャシディもずいぶん前にいなくなってしまった。
 静かなアンコール曲は、親しかった小澤征爾さんを偲ぶものだった。
You can sing this song, when I'm goneの歌詞は今、72年"Mud Slide Slim"当時のラヴソングとは別の意味合いを持つのだ。
セットリスト↓
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 コンサートの晩うちに泊まったMにくっついて、翌日電車に乗り、故郷の町へ行った。
お互いの家のお墓参りをしましょう、と二人で歩いてゆくと、お寺の桜がちょうど満開だった。
大きな本堂の前に堂々とした古木が、その奥に幼稚園がある。黄色い帽子をかぶったわたしたちが、その桜の下を通ったのは半世紀以上前(正直に書けば65年前!!)のことなのだ。すごいですね。
Never die young、若死しなくてよかった、うん。

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サワードウ初心者メモ2024/03/31

 天然酵母サワードウを始めてから3カ月半になる。
かれこれ10年以上、ホームベーカリー(Panasonic)でドライイースト使用のパンをほぼ週に1回焼いているが、調べてみると自然発酵の天然酵母 Sourdoughサワードウもそれほど難しくはないようだ。たくさんの紹介サイトやYouTube動画があった。
ベーキングの本も出しているらしいPaul Hollywood氏の動画

 わたしは水と小麦粉だけでなく、ミネソタの友人が月に分けてくれたフリーズドライのスターターも使って、12月に始めてみた。発酵種完成まで20度から25度くらいの場所に日間ほど放置しなければならないから、晩秋以降の室温が適していたと思う。この周辺の夏は暑過ぎるからね。

 開始日からスターターの完成、そして試行錯誤の初期マフィン作りはこんなふう↓
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 マフィンのレシピサイトや動画も数多くある。
最も頼りにしたのは、お菓子作りが大好きな高校生UMIくんの動画だった。
なぜベーキングパウターより重曹がよいのか、サワードウの乳酸とソーダが化学反応してマフィンをふわふわに膨らませるのだという説明も分かりやすかった。
参考にしたサイト:
 オーストラリア暮らし:サワードウ 元気のなくなったサワードウをアクティブにする方法など

 IKEAのマフィン型は6個分だからUMIくんのレシピの半量でよい。中に入れるのは冷凍ブルーベリーやドライ・クランベリー、バナナ、くるみ、パンプキン・シーなど、その時手元にあるもので焼いている。
トッピング用のクランブルは面倒なので、作ったのはまだ一度だけだ。
ただザラメをパラパラと振りかけて焼く。それでも、天然酵母マフィンは、コストコに負けないくらい美味しい、と思う(大きさは1/3でカロリー気にならず)。

 さて、いつかは作りたい本格サワードウ・ブレッド(例:クックパッドの写真↓)だけど、
何しろとても簡単!という作り方でさえ、伸ばしたり丸めたりを30分毎に数回繰り返し、一晩おいてから成形して焼くわけで、クランブルでさえ面倒な者にはハードルが高い。

その代わり、ホームベーカリーの自然酵母コースで焼ける、ありがたいレシピを見つけた。
 通常の食パンコースは4時間のところ、このコースには7時間かかる。
完了時間を考慮して始める必要はあるけれど、見かけ以上にパリパリした皮が、さすがサワードウ!と思わせる焼き上がりだった。

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 今日は何も焼かずフィードだけおこなって、冷蔵庫に戻した(週1回のルーティン)。
11時、ぬるま湯50ccと同量のライ麦粉を入れてぐるぐる攪拌し置いておくと、
12時→13時と2時間で倍の大きさに膨らんでいく。
ぷくぷく発酵して成長する様子がかわいいんですよね。自分のサワードウに名前をつけている人もいるらしい。
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