ミネソタの友人に2007/08/02

 取りあえずメールを送る。滞在中に知り合った友人たちは皆ミネアポリスの南に住んでいるから、帰宅時間にあそこを通ることはないだろう。
L&G夫妻はスペリオル湖沿いの家にいる頃だし、ペグも北部のキャビンにいるはずだ。でもMは大丈夫?S家の子どもたちは? 心配になってくる。

 フリーウェイの橋が崩落するなんて信じ難い事故だけれど、地震のない土地の橋は大らかに無防備に造られているのかもしれないと思う。
I-35Wは、娘の友達アイヨウシュの家に行く時などに数回通ったことがある。
橋の北はミネソタ大学のあるユニヴァーシティ・アベニュと交差し、南へ向かってミシシッピ川を渡るとすぐ右手にダウンタウンが広がる。本当に交通量の多い道路なのだ。

 日本で大きな地震があったり台風が来たりすると、ミネソタからいくつかのメールが届く。お互いに気遣い合える友人がいるのは、しみじみうれしいことだ。
 どうぞ何事もありませんように。

Abe is a dreamer2007/08/06

 休み時間、小さいプライベートレッスン室の向うをクラスレッスンの生徒たちが通る。私は明日あのクラスを教えます、と言うと、アレックスが
「クラスレッスンしたい。サマージャンボが当たったら、日本語を勉強します」
会社員である彼の自由時間はごくわずかだ。ゆとりがあったら、仕事をしばらく休んでクラス授業を受けたいのだと言う。
「そうですね、色々な国の学生がいて面白いですよ」
クラスに彼のような学生がいてくれたら、教師にもどれほど有り難いことだろう。

 今日話したのは、安倍政権の今後についてだ。小泉さんのようなカリスマはいない、麻生さんは余計なことを言うし、岡田さんの顔は石みたい、小沢さん少し年寄り、管さんいいね、安倍さんなんで憲法改正なんて言ってるの、大切なのは生活だ年金だ、、、アレックスに選挙権をあげたい。話が弾むと、考えに日本語が追いつかなくて英語が交じってくる。
"Abe is a dreamer."
"Exactly."
はい、それを日本語で。

G校 て形ビンゴ2007/08/08

 マクドナルドでアイスコーヒーを買い、エレベーターを待っていると、管理人のおじさんが
「先生、めずらしいですね、スカート」
「あー、暑いので」
「へー、パンツと違いますか」
「ええ、このほうが涼しいですよ。はいてみて下さい」
暑さで頭働かず、言うことががさつになっている。

 今日は復習の「て形」ビンゴだ。昨夜、ビンゴシートとカードを準備した。
辞書形リストの紙をホワイトボードに貼り、て形に直してビンゴシートに記入するよう説明する。
でも聞いていない学生が一人、「うたって」「さけんで」「ころして」、、
楽しそうに、リストにない動詞のて形を書いている。
「イーサさん、あのリストの動詞を書いてね」
「あ、そう、、せんせい、これはわたしのすきなどうしだ」
「そう、面白いねー。たくさん覚えました」
「はぐして」があったので、ついでにハグしてみた。

 ビンゴ1等賞の台湾アメリカン・エイちゃんに、賞品のガムを投げる。
立秋。しかし、都心はめらめら暑い。

ケンさん、社長になる2007/08/17

「せんせ、お元気ですかー」 午前クラスの引き継ぎを書いていると、ひょっこりケンさんがやって来た。去年の夏教えた台湾の学生だ。1年ぶりに日本を旅行しているらしい。 確か週1回の担当だったが、あの会話クラスはまとまりがあり仲がよかった。 厳しいロシア人アンナさん、大人のハンガリー人クリスティナさん、ハンサムなスウェーデンのクリスはどうしているかな。

ちょっと退化した日本語によるケンさんの近況報告、 「わたし、社長になったです」 帰国後に会社を立ち上げ、なかなか忙しい毎日を送っているらしい。

鑫煜埕企業社

↑りっぱです。でも、日本語表示がありませんね。社長に言わなくちゃ。

 酷暑の一週間でありました。皆さま、融けていませんか。 夜になってようやく気温が下がりましたね。よい週末を。

A Prairie Home Companion#22007/08/20

 アルトマン監督の遺作となった"A Prairie Home Companion"(うへ〜な邦題『今宵、フィッツジェラルド劇場で』)を、ようやく見ることができた。テキサスのオイルマネーに買収されたラジオショー最後の一日という設定の群像劇だが、この人気番組はもちろんまだ続いている。(この映画について書いた去年5月のメモ

phone


 学校の休みを利用して半年に一度出かける時よく聞かれるのは、「またアメリカなの?」
 はい。凝りもせずまだまだ続けたいアメリカ旅行。なぜ?と自問すると、"A Prairie Home Companion"がひとつの答のような気がする。つまるところ、アメリカ地方文化の面白さなのだ。

 映画の最初と最後に出てくるMickey's Dinerはセントポールのシンボルのひとつで、シュワちゃんの『ジングル・オールザウェイ』にも使われている。そしてフィッツジェラルド、ギャリソン・キーラー、ホットディッシュ、ルダフィスク、プラム・クリーク、スパム記念像、、。
 高校時代のホームステイと日本語インターンとでたまたま縁のあったミネソタだけでも、興味深いものがこんなにたくさんあるのだ。マスコミを通して入ってくるアメリカ情報は、ごく一部でしかない。それぞれの州には独自の文化、食べ物、その土地を描いた文学作品や音楽があるのだ。というわけで、訪ねる土地を調べれば調べるほど楽しくなる。まあ、実際に住んでみないとわからないことも多いでしょうけど。
 映画ではオリジナルソングに加えて、定番ルバーブ・パイの歌も歌われていた。映画の季節は春なんですね。

iPod買うべきか2007/08/23

 
 売れっこねえさん会(謎)の先生方がいらっしゃるのでD.ゴードンとD.クラールを出したのに、最近不調だったCDデッキが全く言うことを聞かない。娘から譲り受けたこのCDコンポ、クリーニングは何度か試みたし、ついには夫が分解してレンズ周辺を掃除し、組み立て後に所属場所を失ったネジが数本テーブルに残ったりしたが、最近ではほとんどCDを読み込まなくなった。寿命かな。買い替えかしら。

 ねえさん方をCostcoに案内した。あらら、なかなかよさそうなオーディオ機器が置いてありますね。
でも、それらはiPodを置いて再生しスピーカーで流すタイプのものなのだ。iPodかあ。家族の中で持っていないのは私だけ。息子と娘は既に2代目を使用中だ。
 私は多分、音楽を持ち歩かない。電車に乗る時の必需品は活字だ。
けれど、部屋で聞くために必要なら、そろそろ私もiPodを取り入れるべき時期なのかもしれない。ふーむ。

 夜、サラ・マクラクランをかけてみた。遠慮がちに再生を始めるケンウッド君。なあんだ、まだ働けるじゃないの。と思ったら、飽きたのか力尽きたのか、1曲目を半分くらいでやめて、次の曲に飛んでいる。あー、やっぱりもう使えないかな。
「そいつ、リンキン・パークもきらいなんだよ」
元の持ち主が、あきれたように言った。

 iPod買うべきか。
写真は、深夜の気まぐれケンウッド君。売れっこねえさんからいただいたお花がすてきですね。

G校 日本語人格2007/08/25

 一部の学生には、私が呼ぶところの「日本語人格」が顕著である。
これは母国語を話す時と日本語を話す時の性格がガラリと変わるというもので、今教えている初級クラスのローラなどが好例であろう。

 英語を話すローラは早口で積極的、何でもズバズバ言うし、その割に人の言うことは聞いていないアメリカン・ガールだ。ところが日本語を話すと、あら不思議。シャイな笑顔の心優しいローラちゃんに変身するのだ。なぜ?

 答を言い間違えたマシューが"Crap!"を連発するので、それは私が口にしてもいい言葉なの?と聞いてみた。
学生たちは、日本語の「くそっ!」と同じように人によるのではないか、と言う。ローラに尋ねると、恥ずかしそうに首をかしげて、
「わたしはつかいません」
と答える。そうかー、Japanese personalityのローラは使わないんだ。
「English personalityのローラは平気でshit!って言うよ」
マイクやスヴェンがからかった。