タブマン紙幣の行方2019/06/20

 アメリカで2020年に発行予定だったハリエット・タブマンの20ドル紙幣が延期されるという発表があったのは、5月後半のことだ。オバマ政権時の2016年、奴隷解放組織アンダーグラウンド・レイルロードの活動家だったタブマンの肖像が採用されると決まった時には、初のアフリカ系アメリカ人、そして女性であることの歴史的意義が晴れやかに語られたものだ。それから3年、前大統領の決定を次々と翻すトランプ氏が、タブマンは2ドル紙幣でいいじゃないか、と発言したらしいが、先月のムニューシン財務長官説明は、(偽造防止の技術的問題が理由にこじつけられ)2026年まで新デザイン札の発行はないだろうという歯切れの悪いものだった。
 ハリエット・タブマン紙幣は実現するのだろうか。現在のアンドリュー・ジャクソンを裏面に追いやって?

tubmanbyway

 地下鉄道の「女性モーゼ」コンダクター、ハリエット・タブマンは、一説では300人以上の奴隷を北部へ導いたとされる。上の画像はメリーランド州から自由州のフィラデルフィアまで、タブマンの辿った道を訪ねる州観光局のガイドブックだ。アメリカの小中学校で必ず取り上げられる人物の一人であり、出版物も数多い。
興味を持ち調べ始めたのは、10年ほど前だろうか。雨の中、ボストンのタブマン・スクエアへ歩いたことがある。シンシナティの国立地下鉄道自由センターにも、タブマンの写真は大きく掲げられていた。

 紙幣発行を期待/記念して、今年日本でも関連の本が3冊出版されている。

 ・ハリエット・タブマン—「モーゼ」と呼ばれた黒人女性 上杉忍 新曜社
 ・自由への道: 奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語  ヒューマン・ノンフィクション 池田まき子 学研プラス 
 ・自由への道―逃亡奴隷ハリエット・タブマンの生涯― キャサリン・クリントン  晃洋書房