キティホークへ(第18次遠征隊#4)2019/07/13

 もう一つのテーマはライト兄弟だ。49州目になるノースカロライナの地図を広げた時最初に目に入ったのが、ライト・フライヤー初飛行の土地キティホークだった。大西洋沿いに細長く砂州が連なるアウターバンクスにある。

 まず、ウィリアムズバーグのアウトレットを経由して、ジェームズタウン歴史地区へ行った。1607年、イギリスから最初の入植者がやって来た場所だ。
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 キャプテン・ジョン・スミスの像は、ジェームズ川を見渡す位置に立っていた。そして砦のこちら側に、ポカホンタスの像が置かれている。
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 出発前アウターバンクスの海沿いにホテルを探したが、ピークシーズンに一人で気軽に泊まれる所はない。150kmほど離れたノーフォークのモーテルを2泊予約していた。晩ご飯は車でpo-boyサンドなど買いに行く。
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 26日(水)午前、ライト兄弟メモリアルに到着。実際の所在地はキティホークでなく、少し南の Kill Devil Hills というすごい名前の町だ。悪魔を殺すほど強いラム酒を隠した丘、という意味らしい。
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Wilbur, steady and confident
Orville, impulsive and optimistic
 スミソニアンの航空博物館では、ウィルバーとオーヴィル二人の性格がこう表現されていた。静と動が助け合い補い合って、不可能を可能に。 "making impossible possible" という言葉は力強い標語のようだ。
 ライト・フライヤーのレプリカと小さな模型。本物の木製プロペラと翼に張られていた帆布もあった。
 初飛行の成功は、1903年12月17日。スタート地点と計4回の着陸位置に石碑が置かれている。
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 その当時、ここは一面の砂丘だったそうだ。今は草に覆われ、小高い丘の上に堂々とした記念碑が立っている。
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 アウターバンクスを南へ移動し(ランチはフィッシュ・タコス)、ボディアイランド灯台へ行った。本日のチケット完売なり。登れません。うーむ、やっぱり。
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 州道の外側、海沿いの道をゆっくり走ってみよう。穏やかに大西洋が広がる。もちろん海岸を歩いて貝殻を拾い、砂だらけになる。
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 27日(木)ノーフォークを出発してリッチモンドに戻りレンタカーを返却(走行距離は459マイル、約735km)、昼過ぎのアムトラックでボルチモアに向かった。
 と書くと順調そうだが、実は2時間の遅延だった。あー、やっぱり。
ベンチの隣にいた、こちらも遅延の70代ケイさんの身の上話を聞く。ヴァージニア州のタバコ農家に生まれ、これから娘の住むシャーロットに行くところ。夫とはずいぶん前に離婚し、下の息子が3年前病気で亡くなった。趣味は木彫り。そして美しい木彫り作品写真を見せてくれた。お話しできてよかったね、とハグして別れるアメリカン。こうした予想外の会話が一人旅の楽しさだろう。
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ボルチモアを歩く(第18次遠征隊#5)2019/07/13

 旅行も終盤だ。アムトラックの遅延で27日は何もできず(ベトナム料理店でフォーを食べたけど)、28日から1日半ボルチモア市内をバスと徒歩で巡った。

 must-seeはボルチモア美術館コーン・コレクションのマティス。ゆっくり時間をかけたい、至福の時だ。ピンクヌードとブルーヌードがある。500点もの作品を買い上げてマティスを支援したコーン姉妹は、G.スタインの友達でもあった。コレクションには、ピカソやミロ、セザンヌ、ジャコメッティ他作品も含まれている。
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 考えるロダンのホールには、美しいAntiochモザイク画がぐるりと貼られていた。シリア国境に近いトルコの地方から発掘されたという。
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 バスに乗り、レキシントン・マーケットの有名シーフード店 Faidley へ。言うまでもなくクラブ・ケーキを注文した。確かに別格の味だ。raw barで新鮮な肉厚の生クラム(ハマグリ)も。
 ランチタイム後の暇な時間帯。魚売り場の黒板に"raccoon"とあったので、ラクーンってシーフードじゃないけど食べるんですか?と聞いたら、そうだよ、見たいかい
?と、皮を剥いだカチカチのアライグマを冷凍庫から出して見せてくれた。アリゲーター、フロッグも書いてあったなあ。
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 マーケットから数ブロック歩けば、40歳で謎の死を遂げたポーのお墓がある。
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 ポーの家は、せっせと歩いて到着したら既に閉まっていた。閉館時間まで30分あったのに。ドアの貼り紙を読んでいたら、隣人(シャツを着ていない黒人男性)が顔を出し、「誰も来ないから、スタッフはさっき帰ったよ」と教えてくれた。ポーが1831年から3年ほど住んだこの小さな家には、家具と展示品が少々置かれているそうだ。
通行人はほとんどいない。バス停まで数ブロック歩く。治安の悪い地区らしいことを後で知った。
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 インナーハーバーを散歩しよう。全米屈指のナショナル水族館に行く時間はないけど。この帆船はUSSコンスティレーション。
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 29日(土)朝、オリオールズ球場とベイブの像 、
ベイブ・ルース博物館にも足を伸ばした。帝国ホテルのハッピが、ベイブお気に入りのナイトローブとして展示されていた。それはFLライト建築の帝国ホテルだ。USチームのジャパン・ツアー動画には戦前の日本が映し出されていた。
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 世界で最も美しい図書館 の一つに数えられる ピーボディ図書館 
オスカー・ワイルドの自筆メモがあるドリアン・グレイの肖像や、ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』初版本などが飾られていた。
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 この日の午後、再びアムトラックで(今度は遅延なし)レーガン国際空港に近いアレクサンドリアに移動した。翌30日(日)朝の飛行機に乗らなければならない。
 
 アレクサンドリアのオールドタウン、ウォーターフロント公園からポトマック川を眺めた。美しい夕暮れだ。
第18次の備忘録はこれで終了としよう。残るはアラスカ、、!
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