そうだ京都の紅葉2019/12/15

 
 
 2週間前の週末に京都へ行った。2泊3日で13寺(お寺の助数詞は〜寺、〜山らしい)と言うと「へえ、よく歩きましたね」と呆れられるが、美しい紅葉に夢中になり一人むやみに歩き続けてしまったのだ。
どのお寺も心を動かす素晴らしい風景だった。人混みは東京駅並みだし、国内外からの無遠慮な観光客も少なくなかったけれど。
いつか行きたいと思っていた秋の京都、数えてみれば京都行き自体30数年ぶりだ。大きな課題を達成したような気持ちで、繰り返し写真を眺めている。

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 まず、洛北の蓮華寺。出発前、この地の大学に通った中学の同級生Y君が推薦してくれた。書院の奥から見る色鮮やかな庭は額縁の絵のようだ。初日は叡山鉄道沿いに圓光寺、詩仙堂を回り、

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 夕暮れの金福寺へやって来た。これは与謝蕪村が再建した芭蕉庵だ。
裏山に登ると蕪村のお墓があった。大らかなリズムを近代のように感じていたが(と言うより何もかも忘れかけている国語史)、江戸の人だった。覚えていたのは有名な二句だけ。
 春の海終日のたりのたりかな
 葉の花や月は東に日は西に

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 2日目は嵯峨野と嵐山。平家物語の祇王寺はつつましやかだ。
清涼寺の国宝釈迦如来の面差しは、ミャンマーの穏やかなブッダ像を思い出させた。二尊院でしあわせの鐘を思い切りゴーン!とつき、石段を登って町を見下ろした。高い所があれば登ろう、足腰の立つうちにと、常寂光寺の多宝堂の上や嵐山公園の展望台まで歩を進めた。
天龍寺の美しい林を散策後、嵐電で北野天満宮のライトアップもみじ苑へ。そこから五条のホテルに戻るつもりだったが、よく確かめず反対方向のバスに乗り終点立命館大前で降ろされた。しみじみと日本文化に浸っていたのに、どこへ行ってもうっかり者だ。

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 最終日は王道の金閣寺からきぬかけの路を歩いて、龍安寺と仁和寺。
龍安寺は高校の修学旅行以来だ。記憶にない石庭の外の広い庭園鏡容池を巡る路の木々も美しかった。
仁和寺ではちょうど観音堂内部が特別公開されていた。ご本尊の千手観音像や障壁画、三十三観音菩薩、日光の二荒山に通じる興味深い解説を聞いた。

 満員電車のような錦市場に足を伸ばし、予約済みのレストランで遅めのランチ。お土産を買って、夕方の新幹線に乗れば、8時過ぎには東京に帰れる。JR東海のCMそのままだが、「そうだ京都」行ってよかった。

塩屋崎灯台20192019/12/31

 
 
 

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 前回ここを訪ねたのは2012年の10月、震災後の復旧工事がまだほとんど手付かずだった時期だ。崖は崩れて、入り口で封鎖されていた。
あれから7年、灯台への階段は美しく整備されており、高さ190mの小高い岬を登った。灯台の上まではさらに103段のらせん階段だ。ぐるぐる、ふうふう。高い所があればいつも上まで行きたいと思うが、謙遜でなく冗談でなくそのうち登れなくなるのだろうと、しみじみ、じわじわ、ひしひし、思い至る。まあ、登れるうちに登りましょ。旅行もそう、行けるうちに行かなくちゃね。
 冷たい風に吹かれて太平洋を見晴らした。沖には白い船が一隻、流れる飛行機雲、遠い三日月、
2019年が過ぎていった。