映画"On the Road"を見た2013/09/01

 日比谷で単館上映の『オン・ザ・ロード』を観に行った。初日なのに、観客は5割ほど。原作同様、長い長いロードムービーだ。同監督の『モーターサイクル・ダイアリーズ』ではチェ・ゲバラの魅力がわたしたちを12,000キロ(何て長いんだ!!)の旅に難なく連れ出したが、路上の登場人物にそれほどの力はなかったかもしれない。

 無軌道、野放図、自堕落、享楽的、刹那的、いくつかの表現が浮かぶものの、どれもディーン・モリアーティ(ニール・キャサディ)の生き方を説明し切れない。距離感のある知的な語り手サル・パラダイス(ジャック・ケルアック)が、なぜ彼に惹かれるのかよく分からないのだ。父親探しだけでは説得力に乏しい。
 ミスキャストのせいもあるだろう。カーロ・マルクス(アレン・ギンズバーグ)の、つるんと子どもっぽく頼りないこと。

 今年4月に亡くなった映画評論家のロジャー・イーバートが、3月末に映画評を載せている。RogerEbert.com ☆☆ 星はふたつだ。
「最後のシーンが、わたしたちの期待に報いてくれる。サルがタイプライターの前に座り、あの長いロール紙(wiki解説)の端を差し込んで、最初の一節を書き出すのだ。ぼくが最初にディーンに会ったのは...」

ontheroad
120フィート(約3.7m)の伝説的オリジナル原稿。何回か博物館で展示されたらしい。

思いついた言葉を付け足しておこう。
Read the road books when you're not on the road.