亡き妻を語る本 いろいろ2012/10/28

 図書館から『歌に私は泣くだらう』(新潮社)が回って来て、一気に読んだ。
生物学者で歌人の永田和宏さんが、亡くなった奥様の歌人・河野裕子さんの闘病10年を語っている。緊張高まる場面を描写しつつも、てらいのない静かな文章だった。

 そう言えば、ここ数年、亡き妻を語る本を何冊も読んでいる。
読書メモをめくってみた。

  そうか、もう君はいないのか 城山三郎 (新潮社)

  いまも君を想う 川本三郎 (新潮社)

  K 三木卓 (講談社)

  妻を看取る日 稲垣忠生 (新潮社)


 城山さんの本はずいぶん評判になったし、川本さんの本も書評に何回も取り上げられた。三木卓さんの『K』は、乾いた文体が印象的だった。

妻との日々を語る愛情深い夫たち、それらが作品としても質の高いものである時、そういう夫を持った妻たちの幸福/幸運を、遠い星を眺めるような気持ちで想像するのだが、

反対に、亡き夫を語る妻の作品はさほど多くないと思う。

(ご本人が小説家である妻が書いたものがありましたら、是非ご教示下さいね)

有名な小説家たちの妻や家族が出版社から依頼されて、思い出の記をまとめることはあるだろう。最近では中島らも関連の本を読んだ。でも、それらは亡き妻を恋う優しき夫たちの言葉とは、ずいぶん異なるものなのだ。


 「きっと奥さんたちは忙しくて、ご主人のことを顧みる暇はないんでしょ」

ざっと説明してから、娘に感想を言うと

「あはは、一人になって、this is MY life!!って思ってるんだよ」

一刀両断、スパッと結論が出た。