ワイルドライフ!(第20次遠征隊#3) ― 2024/10/04
デナリ国立公園へはアンカレジから市内1号線を北上し、3号線に合流した後ワシラを経てさらに北へ全約280マイル(380km)、わたしの運転では5時間ほどの距離だ。秋晴れ、ドライブ日和、でも紙の地図しかない。動物的勘がすっかり衰えたわたしは、気がつけば、米軍基地のゲート前にいた。
「デナリに行きたいんですけど」
「全然ちがうよ」(You're absolutely wrong.)
ゲート内で方向を転換し、教えてもらった道路を進むが、ぐるぐる回ったため方角がわからない。さらにガソリンスタンドのおばさんに道順を聞いて、ようやく一本道のパークスハイウェイに出た。鉄道駅のあるタルキートナでホットドッグのランチ、ハイウェイ沿いの紅葉と遠くに見える山々に目を見張りながら、デナリ地区近くのモーテルに辿り着いた。
さて、翌日、デナリ国立公園のツンドラ・ウィルダネス・ツアーバスに乗った。
公園内は一般車乗り入れができないため、人々はツアーに参加するかシャトルバスで広大な公園内を回ることになる。

「ワイルドライフ!」
ゆっくり進むバスの窓から動物を発見した乗客は、そう叫んで、皆と一緒に野生生物を観察するという掟(ルール)があるらしい。運転手とガイドを兼ねたパークレンジャーが、双眼鏡で捉えにくい、遥か遠くの動物も望遠レンズでバス内のモニターに映し出してくれる。

「ワイルドライフ!」
その日見ることができたのは、山の尾根にいた数頭のブラックベアと、切り立った岩山を歩くたくさんのマウテンゴートだった。星野道夫さんの写真で見たムースやカリブーには遭遇しなかった。
それは残念だけれど、何と見事な秋の風景だろう。アラスカに赤く色づくカエデの類はないようだ。
濃い緑の針葉樹の足元一面を赤く覆うのは、ブルーベリーなどの灌木だ。
植村直己さんが消えたままのデナリ山(マッキンリー)は、雲に隠れて見えなかった。
9月に6,190mの全容が見える確率は30%以下だという。
「あの雲の中にあるんですよ」とパークレンジャー、
白く輝く山脈が眺められる地点でバスはUターンした。
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