カウボーイ博物館とチミチャンガ(第14次遠征隊#5)2015/10/02

 オクラホマシティでは何を見ようかと検索していた時、国立カウボーイ&ウエスタンヘリテージ博物館を見つけた。おお、これはいい。
何を食べようか調べていた時、TEX-MEXの店Albuelo'sを見つけた。おお、これもいい。おまけにそのすぐ隣には適当な中級ホテルもある。よし、これで決まりだ。

 4日目、カンザスからオクラホマ州に入ると天気が崩れ始めた。もや、小雨、強い雨、曇り、また雨。助手席のMが辞書でオクラホマを調べると「天気が変わりやすい」とある。いかにも。
「てるてる、がんばれ」
ここは自称晴れ女のM、別名てるてるに力を発揮してもらわねば。
ガレーナから約360km走り、午後2時半過ぎカウボーイ博物館に着く頃に雨は上がった。ちなみにこの旅行中、雨はこの一日だけだった。考えてみれば、これまで一緒に出かけたどの旅行でも傘をさした記憶はない。看板倒れじゃなさそうだね、てるてる。

 カウボーイ博物館の正面には、彫刻"End of the Trail"が置かれていた。インディアンの戦士が打ちひしがれ、馬の背に揺られている。これをどう解釈しよう。旅路の果て、もはや進むべき道はない。ネイティブ・アメリカンの過酷な歴史を表しているのだろうか。そんな単純なものではないかもしれないが。
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 館内には西部の町を再現した展示室、カウボーイの生活と歴史の展示室、そしてネイティブ・アメリカン文化、3つのセクションがあり、2時間がまたたく間に過ぎてしまった。
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 西部の生活を描いた絵画室の中に、Newell Convers Wyeth作品を見つけた。N.C. ワイエスはアンドリューの父、ジェイミーの祖父だ。去年のシェルバーン博物館とボストン美術館で見た絵が、ここに繋がっている。調べてみると、N.C. はサタデーイブニング・ポスト誌のイラストでキャリアを始め、出版社の求めで20世紀初めのオールド・ウエストやネイティブ・アメリカンの村を回ったらしい。ワイエス・ファミリーの絵には、いつもアメリカらしい光の色がある。
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 ところで、今回の旅行で是が非でも食べようと思っていたのがチミチャンガだ。
チミチャンガとは何ぞや?実は映画"Meet the Fockers"でバーバラ・ストライサンドが連呼していた食べ物の正体を、ずっと知りたいと思っていたのだ。
ブリトーを揚げチーズをかけたもので、グワカモレとサワークリームが添えられている。疑問が解けてよかった。写真は一人前の半分。いつも通りサラダもシェアした。飲み物は当然マルガリータだ。
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カンザス州の旧ルート66(第14次遠征隊#4)2015/10/02


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 1950ー60年代に繁栄を極めたマザーロード、ルート66は、部分的にインターステートに吸収されたことによって置き去りにされた、という内容を東理夫『ルート66』(丸善ライブラー)で読んだ。片側一車線の道路はスーパーハイウェイの張りめぐらされたアメリカで、今いかにものどかだ。
 シカゴとサンタモニカの起点/終点付近と、アリゾナ、ニューメキシコに残る旧道の一部を走ったことがある。4日目の朝、ミズーリ州ジョプリンから州境を越えカンザス州のガレーナまで西へ数キロ走ってみた。州境サインの近くには、ホッパーの絵のような赤いフィリップス66のガソリンスタンド跡もあった。
時間が止まったままの古びたダウンタウンを、かつては車がひっきりなしに行き交ったのだろうか。町の中心で左折し、南のインターステート44Wに入ってオクラホマシティへ向かった。

トム・ソーヤーのフェンス(第14次遠征隊#3)2015/10/02

 正直に書こう。トム・ソーヤーとハックルベリイ・フィンは子供の頃に読んだきりだ。柴田元幸さんと村岡花子さん訳の新潮文庫をバッグに入れて持ち歩いていたが、旅行までに読めなかった。でも、まいいか。とびきり愉快な昔の印象はそのまま残っている。
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 3日目はドライブ・デイだ。セントルイスから170kmほど北上したミシシッピ川沿いの町ハンニバルに、マーク・トゥエインの少年時代の家と博物館がある。蒸気船の水先案内人だったサミュエル・クレメンズ時代からの展示物を通り抜けて、家の中に入った。どの部屋にも白いスーツ姿のトゥエインがいる。"Explore. Dream. Discover.” という名言を思い出す。外ではもちろん、フェンスにペンキを塗る写真を撮った。向かいにはベッキーの家、周辺にはハックの家や灯台、洞窟もあるが、全部を見る時間はない。数ブロック手前のビジター・センターには、ノーマン・ロックウェルの挿絵原画なども展示されていた。

 予定ではこの日オザーク湖を経由して南へ380km走り、マンスフィールドにあるローラ・インガルス・ワイルダーの家ロッキーリッジ・ファームにも行くつもりだった。が、博物館を見るには閉館時間の少なくとも1時間前に到着しなければならない。宿泊先までさらに200km近く走ることを考え、「大草原の家」は諦めることにした。安直な二人組は代わりにアウトレットモールへ行き、午後7時過ぎ州境の町ジョプリンに着いた。

セントルイスは西部への入り口(第14次遠征隊#2)2015/10/02

 猿谷要『西部開拓史』(岩波新書)は、大西部の始まりの町セントルイスを起点に語られている。その本を83年と2011年に(忘れていたから二度)買って読んだはずなのに、サム・ヒューストンもワイアット・アープもぼんやりしたイメージしか残っていなかった。∴ 三度目の新鮮な読書を経て、9月17日ミズーリ州の町に到着した。

 翌朝、まず町の中心部にあるフォレスト・パーク内のセントルイス美術館を訪ねた。入場料は無料だが素晴らしいコレクションだ。初期のオキーフが2枚、マティス、マグリット、エルンスト、ホックニーなど好みの現代絵画だけでなく、古代ギリシャ・エジプト、マヤやテオティワカン、ヨーロッパ美術、アジア美術、短時間ではとても回り切れない。キルヒナーなどドイツ表現主義の色も印象に残った。ネイティヴ・アメリカン・アートの充実ぶりに、この町らしさが表れているようだ
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同公園内のミズーリ歴史博物館も楽しかった。

 フローズン・カスタードのTed Drewesへ立ち寄り、たくさんの種類の中からルート66を注文した。新鮮濃厚牛乳のアイスクリーム、フローズン・カスタードはこことウイスコンシン発のファストフードチェーンCulver'sが有名だ。ルート66というのはルートビアにフローズン・カスタードが入ったものだった。甘い。おいしい。他にも様々なトッピングがある。小柄な日本人二人は小さなカップだったが、大きな人たちは全員が大きなカップで山盛りのアイスクリームを食べているのだった。そうしてさらに大きくなるんだね。
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 さあ、猿谷先生の言う「大西部への門」ゲイトウェイ・アーチに登らなくちゃ。天気は晴れ、秋の雲が浮かんでいるものの、かなり暑い。
Gateway Arch は完成から今年でちょうど50年だそうだ。例によって間が悪くWestward Expantion博物館の方は工事中で、今回ルイス&クラーク探検隊の資料は見られない。
 オンラインで購入しておいたチケットをすぐの時間に変更してもらって、小さな4人乗りのエレベーターに乗り込んだ。ガタゴト斜め上に登ること数分、頂上の展望窓からミシシッピ川を眺める。この辺りがミネソタ州にある源流のアイタスカ湖とニューオリンズの河口とのおよそ半分の地点になるのだろうか。
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走行距離2,555km!!(第14次遠征隊#1)2015/09/27

 8泊10日の旅行から無事帰国した。延期されていた第14次遠征隊は米中南部を反時計回りにぐるりと(一周ではないが)回る新コースで、事前にGoogle mapで大体の距離は把握していたものの、レンタカー返却時、レシートの記録を見て驚いた。
何と1,597miles、2,555km走っていたのだ。(本州の長さは1,500km)
同行のMも国際免許を準備していたが、今回はわたし一人で運転してしまった。すごいですねえ。と、なぜ自分で感心しているかと言うと、第2次遠征隊のカリフォルニアで「運転が遅すぎる」と警察官に注意を受けたことがあるからだ。進歩したよね。
それにしてもアメリカは広い。

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おおよそのコースは以下の通り:
セントルイス(ミズーリ州)→
ジョプリン(ミズーリ州)からカンザス州のルート66を少し走って
オクラホマシティ(オクラホマ州)
ダラスとフォートワース(テキサス州)
リトルロック(アーカンソー州)
メンフィス(テネシー州)

アメリカは逃げない ー 第14次遠征隊延期2015/07/05

 やむを得ない事情で、第14次遠征隊は延期になった。
イエローストーン国立公園内のホテルは半年以上前に押さえてあったし、航空券もレンタカーも手配済みだったが、旅行よりずっと大切な人がいる。
3月末以降、東北自動車道を何回往復したことだろう。桜、新緑、梅雨、、。先週からの学期休みには数日間実家に泊まって、うろうろオロオロした。会話はできないものの何とか小康状態になり、こちらに戻ることができた。

 出発予定日の5日前、去年から隊員になった友人のMに急変をメールすると、数分後
「了解しました。今回はキャンセルしましょう。アメリカは逃げない」
という返信が届いた。わたし同様がっかりしただろうに、さらりと迷いのない文面がありがたい。さばさば陽気なMとは高校時代からの知り合いだ。肩の荷が降りた。名言だね、うん、アメリカは逃げない。

 月曜日から夏学期が始まる。状況が落ち着けば、いつかワイオミングのUS89号線を北上できるだろう。それを楽しみにしっかり教えましょ。

Live Free or Die(第13次遠征隊#6)2014/10/15

 今年のマップを貼り付けておこう。マサチューセッツのボストン・ローガン空港からまず北に上がり、それから西に進んで、5日目にボストンに戻るルートだメイン州フリーポートのLL Bean本店やショッピングモール、州立公園、灯台、ホテル、レストランなどにマークがつけてある。

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 大西洋沿いに小さな町が点在するメイン州、ゴツゴツした岩山と木立のニューハンプシャー州、なだらかな丘陵のヴァーモント州、ニューイングランド地方と言ってもそれぞれの風景には特色があった。紅葉のピーク間近な森の道を、レンタカーの赤いプリウスが快調に走った。5日間の走行距離は、およそ1,400kmだった

livefreeordie

   "Live Free or Die" これはニューハンプシャー州のスローガンだそうだ。かっこいいなあ。自分を縛らず、自由に生きるのだ。
とは言え立場上しなければならないことはあり、それらをせっせと片付け、つじつま合わせて出かける旅行ではあります。
ここまでに走った州は合計41州になった。さあ残りはひと桁だ。ガイドブックにほとんど取り上げられることのない州ばかりだが、その土地を味わう、いい旅をしたい。