パリのオキーフ展20212021/10/17

 ニューヨーカー誌週末の本特集メールに、「ジョージア・オキーフ、ついにパリに到着」という記事が載っていた。
o'keefeParis
The New Yorkerサイトから拝借 Pelvis with the Distance, 1943

 ついに?

 ポンピドゥー・センターでこの秋開催されているオキーフ展が、何とフランス初の個展だという。
オキーフの夫だった写真家/画廊主のスティーグリッツは、芸術と商業は分離されるべきであるとし、美術館というものを快く思っていなかった。
そうした理由で、オキーフはじめ、ジョン・マリン、アーサー・ダヴなど291画廊系のアメリカ初期モダニズム作品が大西洋を渡ることはなく、ヨーロッパに初めて紹介されたアメリカン・モダニズムはジャクソン・ポロックだった。(マン・レイ、デュシャン、ピカビアらのニューヨーク・ダダをアメリカだけの美術活動とは捉えないらしい。)
フランスの美術評論家たちが「アメリカの」モダニズムは1947年に始まったとしている、というこの部分には、言うまでもなく、先月観たペギー・グッゲンハイムが関わっているだろう。

 それにしても、オキーフがヨーロッパではほとんど知られず、作品を所蔵する美術館がひとつもないなんて。
その背景には女性蔑視の考え方があったろう、とも書かれていた。

 途方もなく広がる乾燥したニューメキシコの風景、宙に浮かんだ動物の骨、画面いっぱいに拡大された花、、、ようやく到達したパリで、オキーフはアメリカ文化をどう伝えているだろうか。
 わたしがオキーフに出会ったのは、15年ほど前のシカゴ美術館だ。大きな黄色い葉が瞬時にくっきりと、心に焼き付いた。彼女の見たものが見たくて、何年後かにサンタフェから北へ乾いたプエブロの土地を走り、ゴーストランチとアビキューを訪ねた。アドビの家と、雲のかけらもない青い空があった。
 峡谷、風、光、、人と自然の関わりは、コロナの時代によりいっそう意味深いもののように思える。オキーフの大きな花は、パリの誰かの心にもきっと鮮やかに焼き付くに違いない。

ポンピドゥー・センターの広告動画
→続いて展覧会のツアーが再生される。面白い。(日本語字幕設定可)

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