入門書・参考書2021/03/01

 1月に注文した本がようやく届いた。予想より大判のハードカバーで、カラー図版が美しい。興味のある項目に付箋を貼りながら、日向でページをめくった。
サットン・フーの兜、発掘にまつわる映画があるらしい。Netflix を再開しようか。今日ゴールデングローブ賞を受賞した"Nomadland"も見なきゃいけないし。
冬学期が終了し、時間はたっぷりある。でも、読みたいもの見たいものが多過ぎて、毎日忙しい。

 持ち物を増やしたくない年齢になった。たいていの本は図書館にリクエストして読む。でも、図書館にないこんな reference book 参考書類は購入するしかないだろう。Big Ideas Simply Explained シリーズは big idea という書名の通り、物理、経済、宗教、エコロジー、フェミニズムなど大きい分野の概説書だ。しばらく気になっていたが、今回初めて購入した。

 読みやすい入門書シリーズは、これまでに幾つも出版されている。1990年代からの Beginner's Documentary Comic Books シリーズはモノクロの愉快なイラストが特徴的だった。絶版もあるが、Kindle版で一部復活した。人文系の難解なテーマが解ったような気分にさせてくれたものだ。

jazz clmusic castaneda

 2000年代に入って、2つのシリーズをよく見かけるようになった。
The Complete Idiot's Guide のテーマはポップカルチャー、スポーツ、大学の科目、宗教、料理、クラフト、ライフスタイル、、と多岐にわたっている。ウィットに富んだ語りが楽しかったのに、サイモン&シュスター社からペンギン社グループに変わって少し堅くなったように思う。
Idiot’s Guides Series(リンク)
JP Beatles epidemic

 黄色と青と黒が目を引く For Dummies シリーズは、理系のテーマが中心だった。初期には DOS や Windows の入門書などが並んでいた。畑違いだから一冊も持っていないけれど、リストを眺めると面白い本もありそうだ。
Dummies(リンク)
EC genetics statistics

人工知能時代を考える本2021/03/15

 マックス・テグマークの『LIFE 3.0 人工知能時代に人間であるということ』を読んだ。テグマーク教授は2018年のTED動画その要旨を語っている。
 ハードウェアが自らを設計できる技術的段階、ライフ3.0の時代が近づいた。ほとんどの研究者が、あらゆるタスクで人間を超える汎用人工知能AGIの誕生は今世紀中だろう、と予測している。その後、AGIは人間にコントロールできない速度で進化し、知能爆発シンギュラリティが引き起こされるだろう。未来のシナリオは幅広く、独裁者、征服者、動物園の飼育係、門番、1984、、いずれも好ましいとは言えない。アシモフのロボット三原則から70年、超人的AGIの誕生がもはやSFのテーマではなくなった今、AIが人間の繁栄に役立つよう準備をする必要がある。
というわけで、テグマークが立ち上げたFuture of Life Instituteは、2017年イーロン・マスクやアップル、グーグル、マイクロソフト、大学の代表的なAI研究者たちと共に「友好的なAI」AI安全研究のためのアシロマの原則を策定した。

 「友好的なAI」とは、その超知能の目標が人間の目標と合致することだ。つまりAIは人間の目標を理解しなければならない。
「未来の自動運転車にできるだけ早く空港へ行ってくれと頼み、その自動運転車がそれを言葉通りに受け取ったら、あなたは警察のヘリに追いかけられ吐瀉物まみれになってしまうだろう」という極端で愉快な例が語られる。
AIはプログラムを遂行するが、意識と意義を認知するのだろうか?
 第8章はサブタイトルの「人工知能時代に人間であること」を「意識」を中心に考察している。とても難しい。ジョン・L・キャシディ作『ケンブリッジ・クインテット』でも議論の要はそれだったと思う。「機械は認知能力において人間と並びうるだろうか」小説の舞台は1949年、コンピュータの父アラン・チューリングに強く反論するのはヴィトゲンシュタインだった。

 ところで、エニグマ暗号解読に取り組む映画イミテーション・ゲーム」に、チューリングがブレッチリー・パークの仲間の労をねぎらいリンゴを配るシーンがあった。アップル・コンピュータのロゴはそこから来たのだという説に、さすがジョブズ!と感心したのだが、どうも本当ではないらしい。むしろニュートンのリンゴやアップル・レコードからというのが正しいようだ。
 『LIFE 3.0』に例示された映画は「トランセンデンス」「インターステラー」「スタートレック」「マトリックス」「エクス・マキナ」など。それらはもう遠い未来ではない?

 そうそう、未読だけど、関連図書にカズオ・イシグロの『クララとお日さま』を加えなくては。

読書焼けと中央図書館2021/03/31

 冬の間中日向で読書を続けていたら、窓側の左手の甲がこんがり日焼けしていた。左右の色がはっきり違うのだ。
外ではかぶれないカラフル過ぎるチェンマイの帽子が目元まで陰を作ってくれたけど、顔も毎日じっくり日差しを浴びていたわけで、気がつけばシミが増えている。あらまあ。

 積ん読の山が低くなり、図書館のリクエスト本が届くのを待っているが、村上Tヴィオラ母さんFACTFULNESS、fishy業平ニッケル・ボーイズ、心は孤独な狩人約束の地、、どれもまだしばらく回って来そうにない。
それならばと、初めて中央図書館に出かけてみた。他にも読みたい本があるのだ。車で25分ほどの距離、道沿いの桜が散り始めている。

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  明るいアトリウムの現代建築は、ATPアーキテック・パートナーズ によるものだそうだ。2003年に日本図書館協会建築賞を受賞している。(帰宅後調べ
 蔵書数100万冊(2018年度)というのが政令指定都市の図書館として多いのか少ないのかよくわからないけれど、行った甲斐があった。英米文学関連の洋書が長さ数メートルの棚一列分あり、ディランやポール・サイモンの作詞集、大判の画集も並んでいた。わくわく。これから何度も通うことになりそうだ。(返却は自分の町の図書館分室でよい。)

 今日は、あらかじめ在庫状態を調べておいた本を9冊借り出した。このブックトートには入り切らず、かなり重たかった。
 蔦屋店内で半分読んだマラマッドが2冊、ジャック・ロンドン特集のMONKEYは持っていない。わたしが学生だった頃には、サリンジャーやカポーティが「現代文学」だったものだ。気になっていた新しい文学史ではトニ・モリソン、カーヴァー、オースターも論じられている。

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