ハドソン湾クエスト#52016/05/21

エピソード5 凍てつく海の端まで
 浅瀬で無残に傾いているBOBを救って旅を続けるのか、話し合いに加われないほど疲れ切った者もいる。Swampy Lake スワンピー湖からヘイズ川を東へ、残りは250km。船底に開いた大きな穴だけでなく、船の背骨キールも割れる危機的状況だが、前に進む以外の選択肢はない。覚悟を決めた乗組員たちは木立から修復用の木材を作り、壊れた樽や木の樹脂スプルース・ガム(先住民が噛んでいたチューイング・ガムの元祖)を使うなど工夫してBOBを立ち直らせた。昔のヨーク船は、何艘かのグループで移動した。仲間の船が沈めば、助け合ったり陸路で旅を続ける者もいただろう。数日がかりの修理が終わり、現代のヨークマンも信心深い隊員の祈りに全員が頭を垂れた。
 水漏れの続くBOBで濁流を乗り切ると、前に流された積み荷が浮かんでいた。回収後、急流や浅瀬では船の調子を見ながらポーテージし、苦心して3日進んだところで、再び岩に衝突。慌てふためいて飛び降りる彼らを川岸に残しBOBだけ流れかけたが、辛うじて引き戻した。試練は終わったのだろうか。
 8月の終わり、ヘイズ川を湿った冷たい空気が覆い始めた。周囲は荒涼とした風景に変わり、ハドソン湾の方角から寒気が吹き寄せる。アザラシも姿を現した。残り100kmを切る頃風は強まり、潮の流れのため先に進むのが難しくなった。焚き火で暖をとった後、潮の満ち引きを予測して夜に漕ぎ進むことにした。
 今日こそゴールだ。わずかな仮眠の後、北から追ってくる嵐を避け河口に向って力を合わせて進む。チームは強くなった、肉体的に精神的に。「平凡なカナダ人たちが非凡なことを成し遂げようとしている」
 ”Ordinary Canadians doing the extraordinary"
61日目午後、ヨーク・ファクトリーに到着。1840年の先祖と同じようにハドソン湾会社の倉庫に積み荷を運び入れ、名簿に名前と肩書きを記した「ヨークマン」

hblanding

 一週間放っておいたら、やっぱり内容を忘れてました。仕方なく復習。
地味だけど、いい番組です。その後ますます盛んになったドキュメンタリー風リアリティ番組と比較しても良心的だし、歴史考察の意味がありますよね。
Hudson's Bay Company, portage, pemmican, spruce gum, Cree族など