映画"On the Road"を見た2013/09/01

 日比谷で単館上映の『オン・ザ・ロード』を観に行った。初日なのに、観客は5割ほど。原作同様、長い長いロードムービーだ。同監督の『モーターサイクル・ダイアリーズ』ではチェ・ゲバラの魅力がわたしたちを12,000キロ(何て長いんだ!!)の旅に難なく連れ出したが、路上の登場人物にそれほどの力はなかったかもしれない。

 無軌道、野放図、自堕落、享楽的、刹那的、いくつかの表現が浮かぶものの、どれもディーン・モリアーティ(ニール・キャサディ)の生き方を説明し切れない。距離感のある知的な語り手サル・パラダイス(ジャック・ケルアック)が、なぜ彼に惹かれるのかよく分からないのだ。父親探しだけでは説得力に乏しい。
 ミスキャストのせいもあるだろう。カーロ・マルクス(アレン・ギンズバーグ)の、つるんと子どもっぽく頼りないこと。

 今年4月に亡くなった映画評論家のロジャー・イーバートが、3月末に映画評を載せている。RogerEbert.com ☆☆ 星はふたつだ。
「最後のシーンが、わたしたちの期待に報いてくれる。サルがタイプライターの前に座り、あの長いロール紙(wiki解説)の端を差し込んで、最初の一節を書き出すのだ。ぼくが最初にディーンに会ったのは...」

ontheroad
120フィート(約3.7m)の伝説的オリジナル原稿。何回か博物館で展示されたらしい。

思いついた言葉を付け足しておこう。
Read the road books when you're not on the road.

灯台#5 江ノ島灯台2013/09/19

 学期末オフである。晴天である。十五夜である。
思いたったのは昨夜、経路を検索すると意外に近いのだった。

 江ノ島の灯台は民間の観光灯台で、海上保安庁関連の参観灯台ではないが、登れると聞けば登るのがlighthousesファンの任務というものだろう。

enoshima2013

 今はもう誰も泳いでいない、湘南の海を見晴らす。
少し乾いた風が心地よい。
 下りながら、江島神社、八坂神社、弁財天を回り、友人の病気治癒を祈祷し、おみくじを引き(大吉)、名物らしい生しらす丼をいただいて、弁天橋を戻った。
振り返ると見える橋と島の形は、モンサンミッシェルに似ていなくもない。
 正式名江ノ島シー・キャンドルは、夜のライトアップが美しいらしい。
江の電駅への道沿いにあった「日本でたったひとつの灯台グッズの店」で、新旧2つの江ノ島灯台模型と写真を見ることができた。

 夜、十五夜の月にうさぎ饅頭をお供えし、娘からの電話に今日の話をした。
「一人で灯台!?、 超さびしそーじゃん」
「ふん、すがすがしい、と言いなさい」
孤独な灯台巡り。登れる灯台は日本にたった17しかないのだ。宮古島はちょっと遠そうだけど。

JFK暗殺から50年2013/09/22

 ようやくスティーブン・キング『11/22/63』の翻訳が出たので、いそいそと図書館に予約した。
 その予習のつもりで借りたのが『フォト・バイオグラフィ ジョン・F・ケネディ』(ギャレス・ジェンキンズ 原書房)だが、読んでびっくり。こんなに皮肉っぽい嫌みな伝記をわたしは他に知らない。事実に即した個人史の形を取りながら、あけすけで下世話な芸能誌っぽい話が織り込まれており、悪意とも取れる大げさな表現がこれでもかこれでもかと続く。どーなってるの?と何度も吹き出してしまった。そんなに嫌いなら書かなきゃいいのに。というか、可愛さ余って、ってやつ?
 ともあれ、興味深い数々の写真に見入った。
MLキング牧師没後50年の今年は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺50年でもある。そして、ご長女キャロライン氏がもうすぐ駐日大使に正式指名されるわけですね。

 ケープコッドのハイアニス港から、ケネディ家邸宅群地区 Kennedy Compound を眺める観光クルーズ船に乗ったことがある。2000年秋のことで、ハンサムガイJFKジュニアはその前年、飛行機事故で近くの海に沈んだのだった。
 娘と一緒のその旅行では、ボストンのJFK博物館も訪ねた。ジャッキーの細ーいスーツと政敵ニクソンの汗が記憶に残るだけだが、今見てみたら、公民権運動やヘミングウェイ関連の資料も展示されているようだ。ケネディ家とヘミングウェイの関係って何?ふーむ、いつかまた行かなくては。

 伝記によると、JFK暗殺に関する審査委員会の機密文書2017年まで非公開だとか。ということは、あと何年かで全ての事実が明らかになり、CIAやキューバが絡むと噂された狙撃の謎が解かれるのだろうか。いやいや、そんなに簡単なことではないのでしょうね、きっと。

Y校 iPhone没収2013/09/26

 学生たちのことを言える立場ではない。使い始めて4年、わたしも人後に落ちないiPhone依存症だ。日常生活の多くの場面で、スマホを頼りにしている。
授業中、ややこしいが画像を見せればすぐわかる名詞の説明や、自信の持てない漢字書き順調べにもよく使う。

 学生たちも皆、肌身離さず持ち歩いている。国元の親とskypeで話したり、LINE, facebookや人人網(レンレンワン)QQ.comで友だちとやり取りしたり、路線を検索したりなど。
 でも、テスト中は使用禁止だよね。何しろ、どこかから出回った解答を画像にしたり、メールでこっそり答えを教え合う輩もいるのだ。
その労力を勉強に使えば、と思うけど。
 今期の到達度テスト。抵抗する学生たちに、箱に入れたらテスト用紙を配るという強攻策で臨んだ。
 テストが終わったら用紙を提出し「好きなのを持って行ってもいいです」
「せんせー、ほんと?」

YIEAiPhone2013

 写真の上、机に並んでいるのは、いつもの授業中にゲームやfacebook, LINEをしていため没収したスマホ(←ちょっと磨いてあげました)。
下の写真2枚は、アジア系のにぎやかなクラス風景だ。もうすぐ短い秋休みに入る。