秋の夜長の星座観察2012/10/03



 夜更かしである。意味もなく、一人グズグズ起きている。
 8月のある晩、夏の大三角形を見つけた。強度近視のメガネごしにも、アルタイル、ベガ、デネブは白くきらめいていた。以来、時折東と南の窓から星空を見上げている。
 おお、オリオン座!! 季節は巡っておりますなあ。って常識だったんでしょうけど、わたしには新鮮な星空。

 ネットで関連のページを見たり、iPhoneアプリを試したりした後、星座早見版を入手した。
簡単で使いやすい。何しろ小学生用である。

灯台#4 塩屋崎2012/10/07

 東北地方の参観灯台は2カ所、そのひとつ塩屋崎灯台は福島県いわき市にある。
3.11の大震災で被災した地域であり、福島第一原発からの直線距離は50kmほどだ。
 事前に調べた通り、まだ本格的な復旧工事は行われていなかった。

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 今更めくが、津波被害の跡を海岸沿いの至る所で目にし、少なからず衝撃を受けた。家の土台だけが残った住宅街に、雑草が生い茂っている。

 大きな被害を受けた小名浜港や観光物産センターら・ら・ミュウのほうは、立派に復旧されたようだ。リニューアル・オープンした施設に立ち寄ると、連休中の「みなとフェスティバル」は大勢の人でにぎわっていた。海産物の並ぶ広い館内も、地元の野菜や手工芸品の野外テントも、皆親切で明るい。
こうして元気に人が集まるのは、うれしいことなんだよね。お見舞いを兼ねての温泉1泊旅行が、少し意味あるものになった。
店員さんと言葉を交わしながら、干物を数種類買い求めた。

ヴォネガットの朗読2012/10/13

 元気が出ない時、カート・ヴォネガットの自作朗読は効果的だ。
実は全然知らない92YというNYCの文化センターが、iTunes UにFiction Talksとして置いているもので、1970年に録音されたらしい。
書き上げたばかりの『チャンピオンたちの朝食』原稿を読むヴォネガットは世間離れしており、ケラケラ笑っているうちに「ま、いいか」という気分にさせてくれる。
(ひょうひょうヴォネガットおじさん画像に、音声リンクあり)
Kurt Vonnegut: Breakfast of Champions

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付記:ヴォネガットの小説はもちろん、痛烈にして辛辣な文明批判でもある。
また、実際に出版されたのは73年であり、この朗読部分もかなり書き換えられたようだ。

K校 動物の鳴き声比較2012/10/18


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 10月期は中級を担当している。11カ国17人の学生が、明るくのんびりと勉強中だ。『中級を学ぼう』(スリーエーネットワーク)は、今日から4課に入る。各国の動物の鳴き声を発表してもらった。そう、サウジアラビアに豚はいない。

 午後から雨の東京、秋が深まってゆく。まだTシャツと短パンのスイス人もいるけど。

亡き妻を語る本 いろいろ2012/10/28

 図書館から『歌に私は泣くだらう』(新潮社)が回って来て、一気に読んだ。
生物学者で歌人の永田和宏さんが、亡くなった奥様の歌人・河野裕子さんの闘病10年を語っている。緊張高まる場面を描写しつつも、てらいのない静かな文章だった。

 そう言えば、ここ数年、亡き妻を語る本を何冊も読んでいる。
読書メモをめくってみた。

  そうか、もう君はいないのか 城山三郎 (新潮社)

  いまも君を想う 川本三郎 (新潮社)

  K 三木卓 (講談社)

  妻を看取る日 稲垣忠生 (新潮社)


 城山さんの本はずいぶん評判になったし、川本さんの本も書評に何回も取り上げられた。三木卓さんの『K』は、乾いた文体が印象的だった。

妻との日々を語る愛情深い夫たち、それらが作品としても質の高いものである時、そういう夫を持った妻たちの幸福/幸運を、遠い星を眺めるような気持ちで想像するのだが、

反対に、亡き夫を語る妻の作品はさほど多くないと思う。

(ご本人が小説家である妻が書いたものがありましたら、是非ご教示下さいね)

有名な小説家たちの妻や家族が出版社から依頼されて、思い出の記をまとめることはあるだろう。最近では中島らも関連の本を読んだ。でも、それらは亡き妻を恋う優しき夫たちの言葉とは、ずいぶん異なるものなのだ。


 「きっと奥さんたちは忙しくて、ご主人のことを顧みる暇はないんでしょ」

ざっと説明してから、娘に感想を言うと

「あはは、一人になって、this is MY life!!って思ってるんだよ」

一刀両断、スパッと結論が出た。